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私は二つ返事で返し彼と交際することになりました。周りの人間は手のひらを返すように私の作品を褒めました。最初に原稿を叩きつけた先生も才能をもった人間をそばに置くことで褒めてくださるようになりました。

彼は何より私に従順でした、私に嫌われたくないのでしょう、私が原稿を書けと言ったら私の名で書きましたし作品のネタとして商品を盗んでこいと言えば盗みも行いました。

そして私が綺麗な顔をみて腹を立てて顔めがけて殴っても何も言いませんでした。それをいいことに私はことある事に綺麗な体に傷をつけていきました。


才能をもちあわせた人間を傷つけることに快感を覚えました。それはそれは劣等感を感じていない人間にはわからない程の快感でした。この世に絶望していた私でしたが才能のある人間を傷つけている時だけは自分というものを肯定できました。

ですが何度殴っても何も言ってこない彼に恐怖心を覚え血が滲む程努力をした大学を中退し田舎へ引越しました。


田舎へ引越しをしたあとも何も考えていないようなあの目が忘れられませんでした。

ですが田舎へ引越し、しばらく経つとそんなことさへも忘れてしまいました。

(後々わかったことですが、人間というものは保身のために思い出したくない記憶は思い出さないようになっているようです。)

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