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最初は特に興味が湧くわけではありませんでしたし、あまりに狂信的でしたので気持ちが悪くて関わってはおりませんでしたがある日熱烈な視線を感じました、それこそ最初は思い違いであるとほっといてはいましたが、それが三日に一回、二日に一回、一日、一時間、三十分と時間が短くなるにつれ視線が強くなるのに耐えられなくなり、視線の先を恐る恐る辿ってみると人に囲まれている教祖のような彼とその視線がぶつかりました。
目が合うとその美青年は信者を跳ね除け、ゆっくりと口角を上げながら私の方に近づいてまいりましたので恐ろしくなり後ずさりしましたら、「私はあなたの事をお慕い申しあげております。」艶やかな頬に紅を塗ったように赤らんだ顔で彼は手紙を差し出しました。
正直それが私にはおぞましく感じました。彼は人間を狂信的にしてしまう魔力のようなものをもっているように感じられますし、第一私には恋愛なんぞというものがわかりません。男と女価値観も生き方も思考も全く逆の性をもった2人が運命などと言う名ばかりのものに踊らされ自分に酔ってただの自己陶酔にしかすぎない感情のものだと思っております(彼との恋愛となると男と男になりますが)がその自己陶酔をしなければ人並みの幸せを得れないそうなのです。
私は人並みに幸せがほしいです。才能ももちあわせていない私にも幸福は訪れるべきだと思っています。ですがそんな真似事をしても相手はいつもあれが欲しい、ほかの女と話すななどと自己を強制するような事しか私に求めませんでした。結局恋愛というものは自己陶酔と物欲でしかなかったのです。
彼と恋愛というものをしたらどうなるのでしょう。今まで私に幸福を求めたものは才能をもっておらずおまけに阿呆でしたのでただの苛立ちしか生まれませんでしたが、才能をもちあわせた彼と恋愛とやらをすれば悪態をついたあの先生や私を下に見て自分の劣等感を紛らわそうとした人間、私の作品を駄作だと言って自分自身の作品を持ち上げる人間、以上の人間たちが才能をもった彼と付き合うことで私の作品を評価してくれるのではないだろうか、彼と恋愛をすることに自分には利点しかないそう思ったのです。
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