第6話常識的皿うどん。

人様の作る料理にご意見申すなどと言える腕でも舌でもない。50男が節約のためにせっせと自炊している。そんなチープなエッセイである。もちろん、実は有名なシェフの手ほどきを受け、魯山人は私が育てたと言う逸話も無い。あったとしたら、ソレはでたらめである。早い話が、仕事で包丁を握ったことも無い。女性の手も・・・


さて、やや物悲しいエピソードが出そうになったが、本当に握れば良かった、あの青春の夏の夜の河川敷。

夏の

夜の

河川敷

とくれば、それはもう「恋物語」に決まっている。相手は1つ年上の17歳女子高生が理想的であろう。長い髪はナチュラルに茶色がかっている。校則で「染髪は禁止」なので、生まれつき茶色っぽいのだ。その女子高生は早生まれであったから、学年は3年生である、私は早生まれの女の子さんが好きだ。

家にはうるさい親がいるので、そっと二人で抜け出した夏の夜。河川敷まで付かず離れず二人で歩いた。土手の下にある自販機で冷たい飲み物を買い、河川敷の土手に並んで座った。ふと、右手を伸ばせば、その白魚のような指先に触れることが出来そうだった。しかし私はそうしなかった。


とっくに肉体関係だったからだ。


当時、今から40年ほど前は、相手が女子高生でも問題なかったと書いておく。嗚呼甘酸っぱい青春の日々よ。


さて、序盤の無駄話も終わり、食い物についての無駄話を始めよう。私の作るモノも「料理」と呼んで差支えは無いと思う。既製品を買うよりも、食材を買って自分好みの方法で加熱して味付けする。コレはもう「料理」と呼んでもいいだろう。

さて、料理などと言うものを日々繰り返していると、常識と言うものが身に付いてくる。「料理の常識」と言うヤツである。陳健一は私が育てた。

料理が出来ないと言う人がいる。私はそんな人に「料理は簡単だよ」と使えたいと思い、こんな駄文を書いている。肉と野菜を炒めて、焼き肉のたれで味付けするだけでもいいのだ。そう、肉野菜炒め(焼き肉のたれ味)と相成るわけだが、ここでふと、「野菜炒め」に使う野菜に思いを馳せた。普通はキャベツともやしと・・・


普通は?

この普通と言うのが厄介なのだ。「野菜炒め」なぞ、どこの家庭でも作っているだろう。独り暮らしを始めて、そこで「家庭料理」と言う壁にぶち当たるだけで、幼い頃には母親(父親でも祖母でもいい、祖父でもいいのだ)が作った「野菜炒め」を食べていたはずだ。その家庭ごとの「野菜炒めの中身」が問題なのだ。例えば、私は幼い頃に食わされた野菜炒めにはシイタケが入っていた。肉は豚コマでたっぷり入る。街中華の肉野菜炒めの2倍はゆうに入っていた。ピーマンはどうだろう?入っていたりいなかったりだった記憶があるが、「ピーマンは当然」と言う家庭もあるだろう。いや、最早「ピーマンが無いから野菜炒めを作りませんっ!」と言う、泣く子が号泣するような宣言をする母がいてもいい。


ピーマン、好きだった?


私は画像を豊富に使えると言う理由で「ブログ」(ジャンル・料理)も書いているが、ブログに掲載する際に使う食材に頭を悩ませることがある。そう、「普通の野菜炒め」とか「普通のカレー」と言う問題だ。正直、何でもアリなのが「家庭料理」なので、カレーにピーマンが入る家庭だってあるし、ヤングコーンとスイートコーンも投入されたりする。しかし、もやしが入ったカレーや、くたくたに煮込まれたレタスの踊るカレーも見たことが無い。全ては「常識と言う名の暗黙のルール」のうちにあるのだ。若い人に伝えたい。

「常識を破るのも大事だが、先人たちが不毛と考えた荒れ地を歩くのは無駄である」


カレーにたらこを入れたい人は手を挙げなさい。

先生、怒らないから。


表題の「皿うどん」であるが、これもまた色々と問題をはらむ。そもそも私が言う「皿うどん」は、ポピュラーな物なのだろうか?私はある確信からこう言える。

「極細の麺を揚げたものを皿うどんと呼ぶのは関東ローカルだけである」と・・・

実際どうだろうか?

試みに検索してみる。

「細麵を油で揚げたもので、通常は餡かけにして供する」とある(要約)

しかし、「地方ごとの特色」と言う項目もあり、麺は蒸すか茹でるとか、スープに浸すとか、様々な「皿うどん」が存在するらしい。「長崎ちゃんぽん」を連想する方もいるのではないか?

原型が長崎ちゃんぽんとする説もあるようだ。しかし、関東地方では「盛り付けた時に、油で揚げた極細麵がうどんを盛ったように見える」ことから皿うどんと呼ばれたと言う説もあった。

更に事態を混乱させるのが「堅焼きそば」と言う存在である。ほぼ皿うどんである。ところが、この私の認識が通じず、「硬く仕上げた焼きそばである」と主張する向きもあるだろう。家庭料理ではこの「自分の常識とは違う」と言う話が実に多い。

ここでは、「皿うどんとは油で揚げた極細麺を餡かけしたもの」と定義して、「堅焼きそばは麺が太目」という違いしかないとする。

実際、業務スーパーで買い求めると、麺の太さ(細さ)に違いしか見いだせない。なお、業務スーパーで買うと、2人前で90円、添付スープありだ。


では、実際に作るとどうなるだろうか?いつものように「近況ノート」に写真を貼っておくが、アレが私の「皿うどん」である。添付スープは使っていない。袋に印刷されている「調理例」を見ると、海鮮がメジャーらしい。そして私は「海鮮風味」があまり好きでは無い。「シーフードヌードル」さえも避けるほどだ、高いし。

魚は大好きだが、貝類は好まない。エビも年に3~4本も食えば十分だ、高いし。


と言うことは、添付スープにも海鮮風味が付いていると思われる。お好きな方はあの添付スープを使うのが成功への近道である。もちろん、独身の若い男性が、付き合いだして間もない女性を自分のアパートに招いて手料理なんぞを振舞うのも性交への近道だ。

ここまで「普通とは?」と書いてきたので、本当に普通の具材を用意すればいい。キーワード」は、炒めて美味しい野菜である。あとはシーフードミックスでも肉でも好きな物を入れればいい。

美味しいレベルの肉はもったいないが・・・


今回用意したのは、「キャベツ・もやし・茹でニンジン・長ネギ」と、豚バラ肉薄切りを2枚である。

色味に乏しいので三つ葉をあしらった。

レシピとして書くほどでは無い。

深めのフライパンに油を熱し、先に程よく切った肉を炒めて、火が通ったら退避させる。次いで野菜を炒めていく。7割がた火が通ったら肉を戻し、鶏がらスープの素を小さじ1(1人前です)と塩胡椒。全体がなじんだら、鍋底醤油で「風味付け」をする。そして200㏄ほどの水を注ぎ、沸騰したら水溶き片栗粉でとろみを付ける。

水溶き片栗粉の目安は、片栗粉大さじ1/2を50㏄の水で溶いたもの。

とろみを付ける際は、水溶き片栗粉を投入したらすぐにかき混ぜること。


油揚げ麺の形状が「高さのあるモノ」ならば、皿に盛った時に軽く上から圧し潰すといい。

この麵に熱々の餡を賭ければ完成である。

更に仕上げでごま油をかけ回すと香りが立って美味い。


私は主に「酒肴」として作る。野菜も肉も炭水化物も摂取出来る「至高の肴」であるから。

最初はパリパリの食感を楽しみ、後半は汁気を吸った麺をすするのが楽しい。

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