第3話カレーライスは国民食
皆さんは「カレーライス」はお好きだろうか?日本は「和食の国」とも言われるが、和食ではなく「日本食」の方がなじみが深いだろう。カレーライスにラーメン、ナポリタンにから揚げ等々、日本独自の料理で頻繁に食される料理は多々ある。誰もが「好きな日本食」があるだろう。ここで言う「日本食」とは、海外にルーツがあるが、日本で独自に発展した料理を指すと定義したい。
日本のカレーの元となったのは「イギリス式カレー」だと言う説がある。私もこの説を支持している。カレーと言えば「インド」付近の国の料理だと言う認識の方も多いだろう。主に南アジアや東南アジアの国々で食されているスパイシーな煮込み料理だ。私にはインドに何年も駐在している知人がいるが、彼に言わせると、「インドのカレーと言うか、スパイシーな料理は、日本人の感覚で言うと”スパイスをふんだんに使った煮込み料理”ってだけ」だそうだ。熱い国では発汗作用のある辛い料理で清涼感を得ることが多いと。
日本のカレーに使われるスパイスは単調だとも言う。試みに検索してみれば、日本でインドカレーと呼ばれる料理には「コリアンダー・クミン・ターメリック」の3つが必須であり、あとは料理人の経験と好みでいくらかのスパイスがプラスされるようだ。唐辛子(チリペッパー)もほぼ必須だとは思うが・・・
「カレーはインド料理」(タイカレーやスリランカカレーは組成が違う)と言うが、スパイスの多様性や使い方は日本人の想像力を超える。翻って見れば、「和食」もまた、外国人の想像力を超えるのだから当たり前であろう。和食の3大要素と言えば、出汁と塩と醸造調味料となるが、この出汁だけを考えてみても様々なものがある。
つまり、日本に輸入された料理は本国のモノとは違って当たり前なのだ。
ここでは、日本企業の努力の結晶と言える「カレー粉とカレールー」を使った物を「日本のカレー」と定義したい。
先の大戦(昭和初期あたりから)で日本に導入されたのは、イギリス式のものであった。今でも「海上自衛隊」がオリジナルレシピを公開するが、コレは「日本海軍が真っ先に軍用食として供したから」であろう。憶測が多いが、検索すると大抵はこの説が流布しているし、合理的理由があるように思える。大量に作れて、主菜と飯の組み合わせの最小単位で、揺れる船の上でも「とろみのあるカレー」はこぼれにくかったそうだから。後に陸軍も採用して、戦後に除隊(軍は解体された)した兵士が、故郷でレシピを思い出しながら食堂で出した。コレが日本食のカレーになった。
大正時代の「洋食屋」でも人気だったらしいが、今の「ちょっと辛いカレー」は戦後のモノだろう。洋食のカレーは「欧風のレシピ」であったりするので。
「欧風カレーは辛味よりも旨味重視」と言うことが多い。既に日本でローカライズされている料理なので、戦後の欧風カレーには辛味があることも多いが・・・
単品スパイスを自分でブレンドする人は少ないだろう。いたとしても、過半数は「スパイス調合セット」みたいな商品を買い、お好みでアレンジする程度だと思う。市販品としては「カレー粉」がある。コレは20~30種のスパイスを調合したもので、先人の努力の賜物である。自炊のコストを抑えたいなら最低でも「カレー粉」を使った方が楽である。試行錯誤にもコストがかかる。先人が苦労の末に辿り着いたレシピを超えることは容易では無いだろうし。
さらに言えば、「カレールー」と言う偉大な品がある。企業努力の結晶である。私ごときが挑むなぞ、片腹痛いだろう。
日本のカレーには必ず「乳化」と言うプロセスがある。簡単に言えば、カレーソースに付いている「とろみ」のことだ。単品スパイスを組み合わせただけでは、時間の経過で「上澄みとスパイス粉」が分離する。見た目も悪く、味も安定しないので、日本のカレーには乳化は必須である。スパイス+油脂+炭水化物(多くは小麦粉)を高温で混ぜ合わせると言う作業だ。これで「日本カレー」になる。
私は大企業に挑むつもりは無いので、素直にカレールーを使うことにしている。
カレーは「2極化する」と言われている(知ってました?)
様々なスパイスを足したり隠し味を加える。具材にもこだわると言うカレー。
逆に「どこまで材料を減らせるか?単純化できるか?」に挑んだカレー。
私は後者である。単純に「安くて美味い」と言うのが信条なのでこうなった。
では、私のレシピを書き綴ろう。
材料は安い肉と玉ねぎ、トマト缶だけ。
カレールーと唐辛子とコンソメの素は当然使う。
安い肉なら何でもいいが、私は手羽元か特売の豚肉を使う。非常に安いからだ。手羽元を特売で買えば100g50円そこそこ。豚肉も「肩肉」あたりの切り落としなら100gで90円前後(2023年春の相場)で買える。
☆レシピ
カレールー 1/2箱 (表記で4皿分。私のレシピだと8皿分にはなる)
玉ねぎ 中3個 大なら2個
豚肉 180g程度 手羽元なら7~8本
サラダ油 適宜
トマト缶 1個
コンソメの素 小さじ3
唐辛子 お好みで
コストはカレールー1/2箱で60円ほど。玉ねぎは特売狙いで中3個が100円弱。
肉は特売で200円弱だろう。
トマト缶は100円もしない。
調味料はデフォルト計算する。1か月に90食を食べるとして、調味料に1000円もかけるだろうか?千円分の調味料を1か月以上かけて消費するはずだ。
つまり、1食に使う調味料代を平均化すれば、10円/1食となる。
鶏肉を焼いて食うなら塩を振れば上等。調味料にコストがかからない食事もある。
今回は手羽元を使った(近況ノートに写真あり)
肉類は安い時にまとめ買いする。そのままではなく、1回分ずつ小分けして冷凍しておく。
凍ったままでいいから、鍋に水を張って手羽元を入れる。そのまま沸騰させると、見事なまでにアクが浮く。
面倒なので、アクが浮いたら湯を捨てて手羽元も軽く洗う。新たに水を張って手羽元を茹でる。アクが浮いてきたら、今度は丁寧に引く。コレで「鶏のスープ」が若干だが取れる。
蓋つき鍋にサラダ油を大さじ3ほど入れて、弱火~中火で玉ねぎを炒める。弱火なら20分、火が強ければ短時間で玉ねぎが色づいてくる。
飴色玉ねぎは不要。全体が茶色っぽくなればいい。
そこに水を放り込むが、カレールーの箱書きの量は無視する。適当に鍋いっぱいに水を放りこめばいい。この時に手羽元から出たスープも加える。手羽元はまだ入れないので、ボゥルにでも退避させておく。
トマト缶を入れるので、溢れんばかりに水とスープを入れると後悔する。
トマト缶を入れる前。徐々に沸騰してきた「玉ねぎスープ」からも盛大にアクが浮くので、これまた丁寧に引いておく。15分ほど煮込んだらトマト缶をいれる。すると、また沸騰する頃にアクが浮くので丁寧に引く。「玉ねぎトマトスープ」になったら、コンソメの素と唐辛子を入れる。経験では、カレールー1/2箱に唐辛子小さじ5で、ココイチの「5辛」ぐらいになる。
このまま弱火で煮込んでいく。
トマトの酸味が好きなら20分ほど。酸味が苦手なら30分以上煮込むと酸味が飛んでいい塩梅になる。蓋をして煮込んでいるが、結構水が蒸発する。なので箱書きの水の量は無視している。煮込み終わったら、火を止めてカレールー1/2箱を割り入れる。沸騰させながらだとカレールーが溶けにくいので注意。カレールーを溶かしきると、かなり「もったりとしてくる」はずなので、濃い目のカレースープになるように水を加える。ここに退避させておいた手羽元を入れる。もったりしたままだと、手羽元から肉が離れて仕上がりが悪い。
また弱火で煮込む。カレースープが「カレー」になるまでじっくりと。
完成したら、半分は冷凍庫に入れて保存する。カレールー1/2箱で8皿分はあるので、独り暮らしだと食いきれない。次は鍋で解凍してちょと煮込むだけで食えるし。
暇な夜にでも作ればいい。大体だが1時間半ほどで完成する。煮込んでる間は暇なので、飯を炊いたり洗い物でもすればいい時間つぶしになる。
コスト500円で8皿分。
ちょっと余ればカレーうどんにして余さず使う。
1食あたり60円そこそこ。
飯はコメの消費量から逆算してみたら、1食60円ほどだった。
つまり、カレーライス1皿で120円前後(おかわりしても240円で満足出来るだろう)
近況ノートに今回のカレーの写真を貼っておきます。
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