ある鳥の話

@szap

ある鳥の話

真っ黒な目は月を見て、それから朝日を見た。


最初に見たものを母、次に見たものを父と思うことにした。


両親は大きい水たまり(あれは海といって、すごく塩っ辛いらしい)からやってきて、山の後ろに帰っていく。


私のじっと見つめて、暖めて、交代交代で会いにきた。


ある夜、母は私に言った。

あなたは私の死だ。


ある朝、父は私に言った。

あなたは私の死だ。


秋と冬の境目に、母は黒く煤けていなくなった。


昼と夜の境目に、父は赤く溶けていなくなった。


真っ黒な目は、光を吸い込んでただ黒く在った。

私はただ、  だった。

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