第2話 私達とんでもないところに来た!?
地震の時に着てた服は、洗濯してくれているらしく、由香と亮介はアンと言う名の優しそうなお姉さんに手伝ってもらい、異世界の服に着替えた。
異世界の服を亮介はあまり気に入らなかったようだが、由香の方はコスプレの気分なのか嬉しそうに着ている。
着替え終わった後、二人は1階に案内された。
何人かの男の人と女の人がバラバラに椅子に座っていたが、皆、表情は暗く曇っている。
「やあ、よく似合っているよ」
アーロンが立ち上がり、二人をテーブルの前に置かれている空いてる椅子に案内した。
「座って、お腹が空いてるだろう、何か作らせよう」
アーロンがそう言うと、アンが会釈して別の部屋に消えていった。
アーロンは椅子に座ると、皆に二人を紹介する。
「女の子の方が由香で、13歳。男の子が亮介で11歳だそうだ。ふたりは、異世界からの転移者らしい」
「え!?本当に?」
声を上げたのは、金髪の少女だ。
由香が今着ているのと同じようなシンプルな服を着ているが、その顔立ちやグリーンの瞳は、ため息が出るほど美しい。広がらないようにバレッタで束ねているウェーブのかかった金髪も美しかった。
その少女の姿は、ふたりがイメージ出来るお姫様そのものだ。
「では、この子たちは勇者!?」
金髪の少女が嬉しそうに言う。その場にいた皆の顔もぱっと明るくなった。
それを見て由香は慌てる。
「ごめんなさい、私達ちがいます。さっき、アーロンさんにもそう言われたんですけど、私達はただの中学生と小学生で、なんの力も持ってないんです」
由香がそう言うと、またみんなの表情が曇った。
「そう…ですか」
美しい少女も落胆したように肩を落とす。
その雰囲気に
アーロンが状況を皆に説明する。
「レイアによると、偶然が重なった事故のようなものらしい。二人の世界で大地が揺れ、聖なる儀式をしていたこの場所と偶然、空間が繋がってしまったと言うんだ。さっき、戻れる方法を調べるように指示をしたが、戻れるまでは僕が面倒を見ようと思う」
「え?」
皆がアーロンを見る。
「皇太子殿下、自らですか?」
「彼らは勇者でなくても異世界からのお客様だ。我が国は古来より異世界から来た人は高位貴族と同等の扱いでもてなすのが伝統。今回も例外ではないよ」
「いけません、殿下はお忙しい方です。代わりに私にお預けください」
美しい金髪少女が前に出て言う。
「う~ん、そうだな。その方が安全かもしれないな」
「是非、そうなさってください」
美しい少女は皇太子に対して臆する事なく、ぴしゃりと言った。
なんだか雰囲気が悪い。
由香はそう感じ、不安な気分になった。
「あの…本当に、ごめんなさい、迷惑をかけて…」
震える声で由香がそう言うと、皆が驚いたように由香を見た。
「いや、迷惑なんて思っていないよ」
騎士のような格好をした人が言う。
「すまないね。本来なら異世界から来た君たちを笑顔で迎えるべきだったんだが」
そう言いながらその人は優しく微笑んだ。
「先の聖女を送ったばかりで…皆、落ち込んでてね」
「あ…送ったって…亡くなったという事ですか?」
「ああ、そうなんだ」
答えたのはアーロンだった。
アーロンは立ち上がり、皆の方を見る。
「だが、いつまでも悲しんでいても仕方がない。みんな、偉大だった聖女サラは未来の為に
アーロンがそう叫ぶように言うと、皆が、ばっと立ち上がった。
アーロンは皆の顔を見まわす。
「聖女サラは、レイアを次の聖女に指名してくれた!我々は今後、新聖女レイアを中心に戦っていく!また、今日、異世界からふたりの少年少女がやって来た!これは
おおおお!
そこにいる全員の
た、戦いって何!?一体何と
一体ここはどういう世界なの!?
由香と亮介は盛り上がる彼らをみて、とんでもなく危険な所に来てしまったのではないかと、一層不安になった。
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