第6話6

千紗から見て、萌は、本当に変だった。


萌は、千紗より若い十代にも関わらず、スマホにも、メールにも不慣れだ。


そして、千紗との朝食中も、スマホのメールの着信音にいちいち驚く反応もしていた。


しかも、萌にメールが来るのは、萌を千紗に預けた萌のおじからのみだった。


その萌のおじである、五十鈴氏だが…


千紗の会社の重要な関係者でもある五十鈴氏は、某難関医学大学の教授で、背が高くガッチリ体型でイケメンだが、48歳にして未だ独身。


しかも、たまに千紗も会社で五十鈴を見るが、大抵、ひげがボサボサ、頭もボサボサ、服にもあまり気を使っていなかった。


千紗の社内の噂では、酒も女にも興味を示さない研究一筋の変わり者だと言われていた。


しかし、昨日、萌と一緒に千紗の前に来た五十鈴氏は、ひげも剃り、髪もカットし、きっちり良いスーツを着こなしていて、イケオヤジになっていたのには、千紗はビックリした。


過保護なのか、その五十鈴氏から、分刻みで萌にメールが来る。


そして、朝食後、萌が皿を洗ってる所に、五十鈴氏が千紗のマンションに萌を訪ねてきた。


「あっ!おはよう!五十鈴君…じゃ無くて、おじさん!」


千紗と玄関で五十鈴氏を迎えた萌は、笑顔でそう五十鈴氏に言った。


「あっ…ああ…おはよう…もっ、も…も…え…」


何故か五十鈴氏は、戸惑い顔を赤らめ、萌から視線を外し言った。


なんだか、もう50歳を迎える五十鈴氏の態度が、初恋の女性を前にした少年のようで…


千紗は、何だか妙な雰囲気を感じ取った。
















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