第4話4

普段千紗は毎朝、食事所かコーヒーすら飲まない。


昼食と夕食は…


死なない程度に何でもいいから何か口に入れればそれで良くて、食事になどに一切時間をかけたく無かった。


朝飲むのは、ペットボトルの水だけ。


だが毎朝、一流の社会人を目指し、髪型、ビジネスメイク、ビジネスネイル、ビジネススーツにだけはこだわり時間をかけた。


人は、見かけが何より一番に重要だ。


これが千紗のポリシー。


ずっと、見かけと学歴だけで欲しいモノは手に入れてきた。


だが、今朝は、髪はボサボサ、ノーメイクで目にはまだ目ヤニもついている。


そして、昨日のネイルのまま、使い倒し年季の入ったヨレヨレのパジャマのまま、萌とテーブルに向かい合い座り、コーヒーを飲んでいる。


だが…


まだ知り合って数時間で不思議だったが、萌が相手なら、なんだかそれでもいいと千紗は思えた。


(どーせ、相手は同じ女だし、女子高生だし…)


だが千紗はコーヒーをすすりながら相変わらず、年下の女子高校生の萌にすら何を喋ればいいのか悩んだ。


萌は、見かけは今ドキの若い女子高生だが、変に落ち着いていた。


そして、何が一体楽しいのか?


千紗を見ては、まるで聖母のように黙ってニコニコする。


遂に間が持たなくなって千紗は、今いるテーブルのあるダイニングからの続きのリビングにあるテレビを付けに向かった。


しかし、千紗がテレビを付けたのは何年ぶりだろうか?


テキトーなチャンネルのテキトーな朝の情報番組を流す。


すると多分、今流行りの男女ユニットの曲が流れる。


「へぇ…今の時代って、この曲流行ってるんですか?」


早速、萌がコーヒーカップ片手にニコニコしなから千紗に聞いた。


千紗より若い萌の方が普通知ってるはずなのに…


千紗は不思議に思ったが…


「さぁ…どうなんですかね?私、仕事ばっかだから…知らなくて…」


「そ…うなんですか…」


萌が、少し苦笑いした。


別に嫌な感じの笑い方では無かったが、千紗は焦る。


いつもこんな感じだから、千紗は他人と話が続かなくて、相手を不快にさせるのだと。


「もっ、萌さんは…萌さんは…どんなアーティストが好きなんですか?」

 

リビングで立ったまま、千紗は焦りながら返す。


すると…


萌は、何故か又少し苦笑いして答えた。


「あー…えぇっと…小○和正とか…K○Nとか……沢○知可子かなぁ…」


「…」


千紗は、思わずキョトンとした。


萌のチョイスは、どう考えても、

千紗の遥か年上の上司がカラオケで歌うやつだったから。


現に千紗は、その萌のチョイスの中の一人は子供の頃のテレビCMで知ってる位で、後の二人は顔さえ知らなかった。




















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