第6話 魔王

知らない部屋で、周りを見渡すとヨナとイムちゃんがいた。どちらも目をつぶっている。


「……!……!」


『ユウリ?そこにユウリいるの?いるなら肩を叩いて。』


「《トントン。》」


『いるのね。イムちゃんは?』


(……ここにいるよ。)


『よかった。あと、30秒ぐらいは目が開けないかもしれないからね。』


(……私も。)


「《コクコク。》」


『多分、うなずいているよね。』


僕はヨナとイムちゃんが目を開けるようになるまで待った。


『……よし!見える!』


(……治った。)


『ここはどこなんだろう?』


(……わからない。……だけど、お城みたい。)


『お城?この世界でお城は王城か魔王城しかないよね。』


(……うん、そうだね。)


『なら、ここは魔王城?』


(……かもしれない。)


『とりあえず、探索しようよ。』


(……了解。)


「《コク。》」


僕とイムちゃんはヨナについていき、探索をした。結局、どう見てもボス部屋の扉の前に着いた。


『……無視しよう。』


「《コクコク。》」


(……えっ?……入らないの?)


『だって、これ絶対にボス部屋じゃん。危ないことには足を突っ込まない。』


(……えぇ〜、、)


僕達が扉を無視して通り過ぎようとすると、扉が勝手に開いてすごい力で扉の中に吸い込まれた。ボス部屋の中にいたのは、10歳ぐらいの犬耳少女だった。


《……だれですか?》


『ヨナです。あなたは誰ですか?』


《僕は魔王ルミ。そちらの方達は?》


『こっちが幼馴染のユウリで、こっちが娘のイムちゃんです。』


(……イムです。……スライムです。)


《スライムですか。全くわかりませんでした。》


(……褒められた?)


《褒めてますよ。》


(……ありがとう。)


《ユウリさんは狐の獣人ですか。》


「《コク。》」


《しっぽをモフモフしても、いいでしょうか?》


「………。」


《??》


『多分、ルミちゃんのしっぽをモフモフさせてくれるなら、しっぽをモフモフしてもいいですよ。って、言ってますよ。』


《う〜〜ん。悩みますね。》


『私は絶対にモフモフしたほうがいいと思うよ。』


《う〜〜ん。なら、モフモフします。》


ルミちゃんはそう言うと、僕のしっぽをすぐにモフモフし始めた。


《これは、すごい。やみつきになりそうな触り心地です。》


「……!…!」


《くすぐったいですよね。でも、あと3分ほど我慢してくだい。》


僕は言われた通り約3分間くすぐったいのを我慢した。


《……もっと、モフモフしたいですが、私の番ですね。はい、どうぞ。》


「《ペコ。》」


《いいんですよ。約束ですから。》


僕はルミちゃんのしっぽを触った。感触は、ボフボフ、フカフカ。僕のしっぽとはまた違う触り心地だった。


「……!……!」


《ヒャッウッ!くすぐったいです!》


「………!………!」


《ちょっとだけ、少し優しくモフモフしてください!とってもくすぐったいので!》


「………。」


《わかってくれますよね?》


「………。」


僕は仕方なく、しっぽのモフモフの触り方を優しくすることにしてモフモフを楽しむのだった。

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