土曜日だ。晴れていたので真船は三日間溜めてしまっていた服を洗濯機に入れ、部屋を掃除した。


 秋の朝日に部屋を舞うダストがキラキラと輝いていた。


 他に特にしなければいけないことも、したいこともなかったのでただ簡単な朝食を作り、隣の部屋からの洗濯機の音を聞きながら食べた。


 インスタントのコーヒーは少し苦かった。


 洗濯物を干していると遠くからスピーカーががなる音が聞こえた。近くの学校では体育祭が行われているのだろう。


 部屋の隅に立て掛けた傘を見ながらふと真船はあの少年のことを思った。


 あの店でたった一人で回していけるほど彼は大きくはないし、第一、あの店にそれほど客が入っているとは思えない。経済的、はたまた彼の将来的にもあれはきっと良くない。サンプルを見た限り幼いながらも技術は確かにある。


 彼は将来なにしてるだろう。


 真船は頭を振った。別にこれは私には関係のない事だ。私と彼は客と店員。それだけであって、世界には人の数だけ正しいあり方があるのだ。口を出す所ではない。


 もう一度傘を見やった。


 今日は少しだけ早めに店に行ってみよう。

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