第32話 馬車にゆられ こっくりこっくり
「やっほーなの」
「おはようございます」
「おはようなの、シャンティさん」
「リリアンナ、ちょうど寝ちゃったの」
「リリアンナが起きるまでいてもいい?」
「いいですよ」
「最近ずっと頑張ってたから、疲れてるのかな」
リリアンナが深く寝られるように馬車のカーテンを閉めながら聞いてみる
「ほんと頑張りすぎですよ」
反対側のカーテンを閉めながらティナがいう。
「もちろん、周りの人に舐められないようにすべき...だけど...」
(寝てるアンナを見守る母親みたい)
「困難もあるだろうけど、幸せだったと思える人生に...」
(リリアンナに伝えてるようだけど、一人言のようで最後の方はちゃんと聞こえなかったけど、ほんとうにリリアンナが好きすぎるの)
「夜眠れなくなったら大変だし、1時間後くらいにはおこしてもいい?」
「そうしてもらってもいいですか、私もそのつもりでしたから」
「それなら...」
ぽわぁ
ペーナ小さな明かりを出した
「徐々に明るくしたほうがティナが起きやすいかなっておもったの。」
ティナがなるほどと思ったような顔をした。
「よろしくお願いします」
なんか、顔から褒めてるオーラがにじみ出てる。
うまくいえないんだけど...
なんていうか...
遊んでいるボールがとんでっちゃったとき、ボールを拾ってくれた人にしっぽ振ってる犬みたいな
やっぱりうまくいえないけど...
ーーーー
「ほんと頑張りすぎですよ」
「もちろん、周りの人に舐められないようにもすべきことはあるけど...」
「でも、あくまでそれは手段であってゴールにする必要はないんじゃないかって最近思っちゃう」
「そんなに根を詰めて、身を削る必要はないっていうか」
「もっと色んなことに手を抜いてもいいんじゃない」
「ほんとに疲れきっちゃう」
「アンナ様ならそれすら楽しんじゃうのかな?」
「楽しくても困難はあるだろうけど、幸せだったと思える人生にしてほしいな」
(こんなにアンナ様を思ってくれる妖精がいてよかった。ちょっと前にアンナ様の部屋にいったらいたときはびっくりしたけど。話してみたら思ってるよりかわいくて、今ではペットみたいというか家族みたいというかっていう存在なんだよね。)
(でも、魔法ってやっぱすごいよね。魔法が使えたらもっとアンナ様のためにいろんな事ができるのに...)
(魔法を使ってくれる妖精に会える方法を今度ペーナに聞いてみよう)
(ヤバい、柄にもなく、ニヤけちゃってる気がする)
ーーーー
「ふわぁ〜」
「よく寝た~」
「スッキリしましたか?」
「うん!! 今までで1番って言えるくらいスッキリした...わ」
「ペーナが、アンナ様が心地よく起きられるようにって1時間かけて少しずつ馬車のなかを明るくしてくださったんですよ」
「ペーナ、ありがとう」
「じゃあ、ご褒美ほしいの」
「はい」
キラキラした魔力を丸めて白玉にするイメージで出す。
「やっぱり美味しいの!!
ありがとうなの」
最初の方は魔力をまいてたんだけど、
食べにくそうだから、白玉をイメージして丸められないかやってみたんだよね。
そしたら思いの外うまくいって、最近はこれをティナにあげてる。
前に、ペーナと一緒に食べてみたんだけど、魔力をまいたやつは、なんの味もせず"粉"って感じなんだけど、丸めたやつはなんでか白玉みたいな食感なんだよね。
ホットケーキをイメージしたらホットケーキみたいになるのかな...
今度やってみよ。
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