第30話 おかしい...こんなはずじゃ...

 さらに馬術の時間を増やしてガチガチにハードなスケジュールを過ごすようになって3日。

 3日しか過ごしてないけど、分かる。

ドッセーナ様の求めるものが格段にあがった。

 もちろん、前もきつかったけど、こんなにじゃなかった...はず


「ドッセーナ様、練習いきなりハードにし過ぎじゃないですか?」


「ははっ、そんなことはないゾ」


「ほら、ふざけたってことはかなり自覚あるんですよね?」


「たしかに、どんだけ難しいものをやらせてもその日はできなくても、次の日には形になってるしな。教えてて楽しいよな。」


「おかげさまで、わたくしはかなり辛いですわ。」

ちょっと涙も流してみようかな...


「大根役者にもほどがある。」


「練習のしすぎで頭がおかしくなってしまったわぁ~」

今度はミュージカルみたいに語尾を伸ばしてみるか


「ぷぷっ ふふっ」

めっちゃ笑ってる。

その間にちょっと休憩しよう...


「はい、やるぞー」

え、さっきまで笑い転げてたよね?

なんで3秒もたたずに切り替えられるわけ?


「今の、ここ数日の上達具合と君の実力なら入賞は全然狙えるからな。徹底的に教えるって決めたんだ。」

 つまり、練習に追いつくための練習でドッセーナ様の変なスイッチが入ってしまったのか、練習時間減らそうかな。減らしても十分すぎるくらいの練習時間あるし。


「わたくし、ある程度の結果で十分なんですけど。」


「いや、やるからには徹底的にだ。」


「...」


「貴族令嬢に言っても無駄かもしれないが、入賞したらたんまりと賞金がもらえるぞ」


金! 金はあるだけあっても困らないし...

留学いってみたいって前世からの願いもあるし...

でも、こんなに辛い練習...

それに、令嬢だからお金の心配はないし...


 ちょっと心が傾いてるのがわかったようにたたみかける。


「しかも、」

しかも?


「なんと、」

なんと? もー、焦らさなくていいから!


「これで結果を残したら、君が行こうとしてる学園の入学試験の書類に入賞だとかけるぞ」


「しかも、上のクラスに入りやすくなるぞ。

君の行こうとしている学園は入試の成績順と校外活動の結果コンクールや試合の結果の総合でクラスを上から割り振っていく。つまり、質の良い授業を受けれる上のクラスに入れるってことだ。」


あの学園の理念は『実力、やる気のある者をのびのびと育てる』いわゆる、金での裏口入学はできない。


そんな学園に書類で結果をかける...

やるしかない!


「わたくし、頑張ります!!!」


「じゃあ、狙うは優勝だ!」


「はい!」


「くれぐれも怪我はするなよ」


「もちろん」



えっ単純すぎる?

そんな声も聞こえる気がするけど...


まぁ、いいじゃないか!

それくらいのノリでやってかないと練習が辛くなるんだから。


わたしは、前世で学んだ。

どんな理由でさえ、楽しんだ者が勝ちだと。





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