第5話 メイド、シャンティ

 公爵家の令嬢のメイドにならないかって話が来たときは驚いた。基本的には伯爵令嬢が専属メイドになるのだ。


 この社会において

公爵家が9家

候爵家が15家

伯爵家が貴族の3分の1を

男爵家が貴族の半分を占める

 しかし、国境に面する領地をもつ5家は貿易なども担当するため、辺境伯という称号を与えられ、候爵と同じくらいの権力をもつ。


 専属メイドとしてちょうどよい年齢の伯爵家の令嬢には、急すぎると断られ、男爵家のうちに依頼が来たのだそうだ。


 公爵家のご令嬢はかなりの癇癪もちだと聞くけど、専属メイドにはかなりのお給金が出る。うちには双子の姉弟

ティティーナとシャーバードがいる。

 男爵家のうちは領地も小さいため税金も少ない。双子の学費が心配な状況だ。


「お父様お母様、私専属メイドになろうと思います。」


「ここだけの話、公爵家のお嬢様は癇癪持ちだと聞くよ」

「辛くなったらいつでも帰ってきていいんだからね」


あぁ、この家に生まれてきてよかった。

優しい両親で本当に恵まれてるな。



 公爵家についた、門も庭ももちろんお屋敷もうちとは比べ物にならないくらい大きい。


 これからお世話するご令嬢のところに案内された

「こちらが、リリアンナ・ド・アンヴィーヌ様でございます。」


「リリアンナ様の専属メイドになるシャンティ・ファ・クラッティーニです。よろしくお願いします」


「りりあんなでしゅ。よろしくね。シャンティはずっと一緒にいてくれる?」


かわいいー、ちゃんと挨拶できるし噂より良い子かも。


そんな思いは一瞬で砕かれた。

「やーだー、かたづけしなーいー、ゆうしょくべないー もっとシャンティと遊ぶー」


いきなりこんなに駄々こねるなんて

まだ、うちにも双子がいるし、お世話くらいって思ってた...はぁ


「リリアンナ様、夕食を食べて湯汲みが終わったらまた遊びましょう」


「えっまだ一緒遊べるの?」


「そうですよ」


「わかった、かたづけする」


一緒にいてくれる人がいなくて寂しかっただけなんだ。リリアンナ様のことを一番に思ってあげられる人になろう。

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