ボーイミーツガールの終わり

戦士

ボーイミーツガールの終わり

 深夜、彼女が俺の前に立って語りかけてくる。


「大丈夫?」


 落ち込んでいる俺に、気を使ってくれたのだろう。


 うつむいた顔を覗き込んでくる。


 無理やり目を合わされた、きれいな瞳をしている。


「何か悩んでいるなら、相談して。」と言って俺の隣に座った。


 ばれないように、ほんの少しだけ隣に座った彼女の方をみる。


 整った顔立ち、白い肌、きれいな服、彼女は美しかった。


 俺とは到底釣り合わない思った。


「私、あなたの力になりたい、あなたが少しでも楽になるなら、私に悩みを打ち明けてみて。」


 そう言って俺に微笑みかけたが、黙っていた。

 彼女に相談したところでこの問題は解決しないし、楽にならないことを知っていたからだ。


 彼女のことを信用していないというわけではない、信用していたし、更には彼女のことが好きだった。


 出会ったばかりのころ、彼女が俺に向けてくれる笑顔さえあれば、

どんな苦しみも忘れられることが出来た。


 彼女も同じ気持ちだと言っていた。


 だが、ある日から俺は彼女を拒絶し始めた。


 彼女が俺に向ける好意について、それを自身の心の中に招き入れることが出来なくなってしまった。


 俺と彼女の間には壁ができた、この壁を取り除くことはできない。


 二人の愛は終わった。


 原因は分かりきっている。


 ただ、これほど自分の真面目さを恨んだことはない。

 こんなものさえなければ、何も考えずに彼女と楽しく過ごすことが出来ただろう。

 いくら社会にとって正しいものでも、俺にとっては生きるのに邪魔な枷でしかなかった。


 そんな俺の心の内を知ってか、彼女は黙って泣いていた。


 彼女も俺との愛が終わったことを知ったのだろう。

 

 俺がこれから先、彼女の気持ちを知ることはない。

 

 彼女がこれから先、俺に語りかけることはない。


 ゴミが散らばったこの狭い部屋に、寂しさの波が押し寄せる。


 当の昔から只一人だったはずなのに、






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ボーイミーツガールの終わり 戦士 @kosodoroyaziuma

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