第135話 Side - 15 - 73 - せいゔぁー・くっころー -
Side - 15 - 73 - せいゔぁー・くっころー -
「ふわぁ・・・やっと今日の謁見全部終わったよぉ、疲れたぁ・・・、あとは明日・・・第二王子殿下の結婚式までやる事無いよね、まぁうちは友好国として招かれただけだから、適当にお話を聞いて、美味しいお料理を食べてればいいかな」
「姫様、今の姫様は超優良物件です、婚姻目的で各国の王族級の男どもが群がって来るのではないかと・・・」
「それは・・・ほら、トリエラさん達が守ってくれるよね」
「私どもは寄ってくる王族に対して何かできる立場ではありません、姫様が話術で躱して頂く他ないのでは?」
「えー、面倒くさいなぁ・・・」
「・・・」
「でもなんとかなるでしょ・・・私が国外にお嫁に行くと色々とまずいだろうし・・・」
「確かに・・・」
「暇だからリゼちゃん呼んじゃおうかな、・・・あ、今は通話できないっぽいね、呼び出しに反応が無いや・・・じゃぁメッセージを・・・「リゼちゃん、夜まで暇だから時間が出来たらこっちに来てね」・・・と」
「姫様その指輪便利ですね」
「いいでしょ、いつでもリゼちゃんとお話しできるんだぁ」
ぱぁっ!
「うわ眩しっ!・・・ってリゼちゃん?、どうしたの、そんなに泣いて」
「わーん!、リィンちゃん、もうやだぁ!デボネア帝国怖い・・・」
「何かあったの?」
「ぐすっ・・・博士と一緒に転移したらちょうど村が野盗に襲われてるところでね、私達に気付いたモヒカン頭の男が「ヒャッハー!、&$%”+@@!^¥&!!」って襲って来たの、それで博士がキレて野盗達が肉片になって・・・私の前に腕や指が転がってきたの」
「もひ・・・何?、それに「&$%”+@@!^¥&!!」って何?」
「ひっく・・・私デボネア帝国語なんて分かんないよぅ・・・たぶん「汚物は消毒だぁ!」みたいな事言ってたんじゃないかな・・・博士は野盗を皆殺しにしたから村の人達に感謝されてた」
「えー・・・」
「腕輪があるから大丈夫だけど・・・モヒカン頭でトゲトゲの肩パッド付けたおっきな男の人、・・・怖かったの・・・お漏らししちゃったし・・・うぅ・・・」
「それで、デボネア帝国でのお仕事は終わったの?」
「ううん、博士の転移がズレて、帝都がある場所にはもう1回転移しないとダメみたい、でも博士、今日予定外の広範囲殲滅魔法使ったから魔力が不安定で転移は明後日まで無理だって・・・だから村に臨時の転移魔法陣を置いてセフィーロの街にある博士のレストランまで私が送って来たの、明後日博士を連れて私がまたその村に転移する予定」
「大変だったんだね・・・」
「うん、リィンちゃん慰めて・・・」
「よしよし、怖かったねー、ちゃんとお仕事をしてえらいでちゅねー」
「・・・それでリィンちゃん、急に呼び出して何か用なの?」
「えと、暇だったからお話ししようかな・・・って」
「・・・え、それだけ?」
「うん、そうだよ、一つお願いしたい事はあるけどね」
「・・・」
「あ、そうだ、美味しいお菓子があるよ、リゼちゃん食べる?」
「うん・・・」
「落ち着いた?」
「うん、お菓子美味しかった・・・それで私にお願いって何?」
「実はね、今朝陛下から聞いたんだけど、昨日リゼちゃんが転移して来た時にこの国の魔法騎士団長さんが魔力を感知して大騒ぎになったって言ってたでしょ、そのせいで騎士団長さん倒れちゃってね、今は歩いても大丈夫みたいだけど、迷惑かけたから謝りに行こうと思ってるの、リゼちゃんも一緒に来てもらえるかな」
「え・・・何で倒れたの?、私何もしてないよ」
「いや・・・桁外れに強力な魔力の持ち主が突然お城に入って来たでしょ、それで騎士団長さん、こんな化け物じみた敵は自分では絶対に勝てない、でもお城を守る為に刺し違えてでも止めなければ!、って思ったらしくて・・・、家族宛てに遺書まで書いて完全武装で待ってたらしいの、でも敵じゃなくてリゼちゃんだって連絡があって、それを聞いた騎士団長さん膝から崩れ落ちて気を失っちゃったの」
「わぁ・・・」
「うちからリゼちゃんが転移して来る事は何も連絡してなかったし、凄く迷惑をかけたから私が頭を下げて来ようと思って、夜ご飯の後で行く予定にしてたの、だから一緒に来て」
「でも昨日はリィンちゃんに呼ばれてここに転移したんだから私は悪くないよ、リィンちゃんだけ頭を下げて来たらいいのです!」
「そんな事言わないで、魔法騎士団長さんってどんな人か分かんないし、私も一人じゃ心細いから一緒に行こうよ、リゼちゃんも私の護衛でここに来てる事になってるんだから行かないと不自然だよ」
「やだよぅ・・・」
「私を助けると思って、お願い!」
「・・・でも私、男の人本当にダメだから・・・ただ居るだけになるよ」
「うん、それでいいから!」
「仕方ないのです・・・」
それからトリエラさんがお部屋から出て行って、案内役の騎士様を連れて戻って来ました、昨日陛下の後ろに控えてた美人さんだぁ・・・。
「王女殿下、リーゼロッテ様、昨日お会いしましたが、改めて自己紹介を・・・私、陛下の専属近衛騎士を務めさせて頂いているセイヴァー・クッコローと申します、これから魔法騎士団長のところへご案内します」
「よろしくお願いします」
「・・・よろしくです・・・」
「魔法騎士団長はまだ安静が必要なので王女殿下がお部屋に出向いて下さる事は言っておりません、言えば自分がお部屋に行くと言うと思いますから・・・あの時は身体中に自爆魔法陣を巻き付けてそのまま敵もろとも一緒に肉片になろうとしていたみたいで・・・まだ安静が必要なのです・・・」
「それは・・・本当にごめんなさい、迷惑をかけてしまいました・・・」
「いえ、非常事態になって追い詰められた時に魔法騎士団長があんな馬鹿な事をするとは思いませんでした、強敵が侵入するたびに自爆されたのではたまりませんからね、陛下からは忠義は立派だし城を守ろうとした事は感謝しているがもっと自分を大事にしろって怒られて凹んでましたから・・・」
私とリィンちゃん、それからトリエラさんはセイヴァーさんの後についてお城の廊下を歩いています、背筋を伸ばして綺麗な所作で歩くセイヴァーさんは「問おう、あなたが私のマスターか?」って言いそうな見た目だけど、物腰の柔らかい優しそうな人だなぁ・・・。
コンコン・・・
「返事が無いですね、ちょっと失礼・・・」
ガチャ・・・
「入るよ・・・どうしたの、そんなに震えて」
「わあぁぁぁ、近付いて来る・・・魔力量しゅごい・・・怖い怖い怖い!」
ばさっ・・・
私たちもお部屋に入ったのですが、そこに居たのは毛布を被って震える10代半ばくらいの女の子・・・でも近付くと肌がビリビリするから相当魔力量が多そうなのです・・・この人が魔法騎士団長?・・・セイヴァーさんに毛布を剥ぎ取られて泣いています。
「落ち付きなさい、ローゼリアの王女殿下が昨日の事で謝罪に来て下さったのよ」
「王女殿下・・・嘘・・・私、王女殿下をお部屋まで来させちゃったの・・・何で?、言ってくれれば私がご挨拶に行くのに・・・」
「あなたがそう言うだろうと思ったから内緒にしてたの、まだ立ってるのも辛いんでしょ、立たなくていいからしゃんとしなさい!」
そう言われた言葉を無視して立ち上がった魔法騎士団長・・・いかにも魔法使いですって感じの国章入りのローブにこの国の制服、杖を胸に抱えてこちらを怯えた目で伺っています。
「こ・・・このような姿で申し訳ありません・・・私、この国の魔法騎士団長を務めさせて頂いております、イレイナー・ジャニィーと申します、王女殿下におかれましてはわざわざご足労頂き・・・」
「いいのです、こちらの不手際で護衛の情報を伝えていなかった為に大変ご迷惑をおかけしました、心よりお詫びします」
わぁ・・・王女様モードのリィンちゃん、かっこいいのです・・・。
「あぅ・・・頭をお上げ下さい、王女殿下がそのような事をされては・・・」
「本当にごめんなさい、倒れたと聞きましたが・・・」
「うぅ・・・お恥ずかしい限りなのですが、気が緩んで倒れてしまいました」
「王女殿下、こいつは私の友人でもあります、見た目は幼女なのですが私と同い年、魔法の腕は確かでして、史上最年少で騎士団長になった天才なのですよ、その彼女がこんなに怯えるとは予想外でした・・・」
「うぅ、セイヴァーちゃんは魔力が人並みにしか無いから分からないの、あの時感じた魔力量は・・・私なんてプチって簡単にやられちゃうくらいの力量差があったの、例えるなら相手がドラゴンで私はちっちゃな虫、虫がドラゴンと戦って勝てる訳ないよ・・・だから私が隙を見て抱きついて自爆するしか無いって思ったの・・・」
「それで遺書まで書いたの?、「お父様お母様、そして大好きなお兄様、私は国の為に星になります、王の為、国の為、国王陛下から賜ったエメラルドの杖に恥じる事なく最後まで戦いそして散るのです」ってやつ・・・」
「わぁぁぁ!、何で知ってるのぉ!」
「陛下に読ませてもらった」
「あぁぁぁぁぁ!」
リィンちゃんが気軽に私を呼んだせいで大惨事になってたみたいなのです、イレイナーさんトラウマにならないといいな・・・。
「ふふふ、仲がいいのですね、ではこちらも紹介を・・・今回の騒動の主役・・・私の護衛騎士、リーゼロッテ・シェルダンです」
「リィンちゃん!、ちょっと待つのです!、何で私が悪いみたいになってるの!、そもそもの原因はリィンちゃんが後先考えずに私を呼んだからだよね!、何一人でいい顔しようとしてるのです!」
「えー、でもぉ・・・」
「でもじゃないのです!、リィンちゃんに呼ばれなきゃ私は転移して来なかったんだよ、だから今回の事で一番悪いのはリィンちゃん!、反省するのもリィンちゃん!」
「・・・はい、ごめんなさい」
「分かればいいのです」
「ふふふ、王女殿下とリーゼロッテ様も仲がおよろしいのですね」
セイヴァーさんに笑われたのです・・・。
「あぅ・・・ごめんなさい、いつもの調子で喋っちゃった・・・」
そして私達4人(主にリィンちゃんとセイヴァーさん)は色々な事をお喋りして盛り上がりました、最初はイレイナーさんと私は人見知り同士ぎこちなかったのですが、魔法の話になるとそれなりに会話が出来ていたと思うのです。
お泊まり会みたいで楽しいかも・・・年齢の近い?女の子4人、少しは仲良くなれたかな・・・。
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