第120話 Side - 15 - 62 - だめだぜんらだ -
Side - 15 - 62 - だめだぜんらだ -
私がお部屋の天井近くで自分の置かれた状況を整理しているとお部屋の外が騒がしくなりました。
扉が勢いよく開いて先ほどの男性3人と騎士様が慌ててお部屋の中に乱入、私のぺったんこなお胸を揉んでいた腐れエロ騎士が慌てて立ち上がり敬礼します。
そして続いてお部屋に入って来たのは・・・。
「アーノルド様・・・」
アーノルド様は私の死体を呆然と見つめた後、跪き・・・私を抱き抱えました。
「遅かったか!・・・すまない!、すまなかったハロキティちゃん!、うわぁぁぁ!」
こんなアーノルド様を見たのは初めてです、私を抱き抱え、号泣しています・・・何故・・・今頃になって・・・。
先ほど私の処刑を言い渡した豪華な服の男性がアーノルド様に尋ねます。
「シェルダン閣下、どうされたのですか、いきなりこちらに来られたかと思うと、罪人の死体に会わせろなどと」
「・・・いやすまない、取り乱してしまった・・・誤解があったのだよ、今朝、ハロキティ嬢と同じ部屋に収容されていた令嬢が面会に来て・・・その部屋での会話を私に伝えてくれたのだ、・・・もう少し早く気付いていれば・・・確かにハロキティ嬢は罪を犯したし、我々シェルダン家を騙していたが・・・心から私の息子を愛していたらしい、そして実家からの命令と息子への恋心の間で苦悩していた」
「・・・」
「何故相談してくれなかったのだ!、もう少し早く知らせが来ていれば・・・、シェルダン家の全ての権力を使ってでも減刑を訴えたものを・・・」
「そのような事が・・・お気持ちは分かりましたが、こちらも仕事ですので・・・」
「あぁ、理解している、罪人の死体はここでまとめて焼かれるのだったな」
「はい、遺族が引き取らないのであればそのようになります」
「彼女の遺体はうちで手厚く弔う、手続きは私の方でやるから、遺体の引き渡し準備を頼む」
「はい、かしこまりました、・・・あと、記録用の水晶で処刑前の最後の会話を記録しております、お聞きになりますか」
「あぁ、頼む」
「水晶はまだこの部屋にありますので記録を再生します」
「・・・」
「・・・」
「ゴホッ!、ゲホッ!・・・あぅ・・・お腹・・・痛いの・・・苦しいの・・・コナンザ様・・・」
「・・・これで良かったの・・・ゴホッ・・・これは・・・一番最初に・・・私が望んだ事、コナンザ様・・・ゲフッ!・・・さようなら・・・それから、・・・ごめんなさい・・・」
「う・・・」
「・・・」
「うぉぉぉぉぉぉ!、私は・・・私わぁぁぁ!、どう償えばいいのだぁぁ!、すまない!、ハロキティちゃん!」
「・・・うぅ・・・アーノルド様、・・・お義父様ぁ・・・ひっく・・・もう、いいのです・・・ふふっ・・・言っても聞こえてないよね・・・でも、分かってもらえただけで私は満足なの・・・」
・・・え、アーノルド様が私の方を・・・天井をじっと・・・見つめられて・・・嘘?、見えてるの?、いやぁ!、今の私は全裸なのに!。
「シェルダン閣下、どうされたのですか」
「・・・いや、何でもない、気のせいだろう・・・だがこれは息子には聞かせられないな、あまりにも残酷だ、息子には・・・彼女は本気でお前を愛していた・・・とだけ伝える事にしよう、君達にお願いがある、この事は他言しないで欲しい、あとでそれなりの礼をする」
「かしこまりました・・・おい、お前達、分かったか」
「はっ!」
そして私の死体は丁寧に包まれて棺の中へ、アーノルド様達はお部屋から出て行かれました・・・。
「あれ、私、これからどうしよう・・・」
「移動できないんだよなぁ・・・」
私は天井でふよふよ浮かんでいる自分の身体を改めて確認します、何度見てもやはり全裸、感触としては生きてる時に自分の中にあった魔力がそのまま肉体の外に出た感じかなぁ・・・だったら魔力循環の要領で、押し下げて・・・。
「あ、床に降りられた、・・・じゃぁ次は横移動、・・・で・・・できましたぁ!」
うん、移動できるじゃん、私。
「お部屋から出られるかな?」
「壁に手を・・・あ、通り抜けた・・・うふふ、楽しい!、楽しいよこれ!」
「廊下に出られました・・・私が朝生きて連れてこられたお部屋は地下だから、階段を上って・・・わぁ・・・歩かなくても浮いたまま移動できるんだぁ・・・」
「待って、みんなに私の姿は見えないし声も聞こえない・・・んだよね・・・物は動かせないかな・・・廊下の花瓶・・・ダメだ!、手がすり抜けちゃう・・・じゃぁ魔力の放出で、・・・えい!、・・・ちょっと弱かったかな・・・ふんぬっ!」
ゴトッ・・・パリーン・・・
「やった、動かせるじゃん・・・あ、いいことを思いついちゃったぁ」
その時の私はとても悪い顔をしていたと思います・・・あの憎いアターシャーのクソビッチに、・・・私を弄んだあいつに復讐してやるのだぁ!。
「ふぅ・・・手当たり次第お部屋を調べてやっと見つけたよ・・・アターシャー(クソビッチ)の部屋」
「寝てるね、可愛い寝顔だ・・・フフフ、さてどうしてやろうか」
このお部屋に筆記用具・・・ペンは無い、危ないから取り上げられてる、あるのは日記やお手紙を書くための動物の毛を使った毛筆・・・それにインク・・・。
「ぐぬぬ・・・」
「筆が浮いた・・・インクを・・・そう、いいぞぉ・・・お顔に・・・フフフ、落書きしてやろう・・・私を弄んだ罰だ、とくと味わえ!」
「んぅ・・・」
「こら、寝返りするな・・・文字が上手く書けない・・・」
「んっ・・・誰だよ・・・あれ?、人の気配がしたのに誰もいない・・・おかしいな」
「・・・」
「フフフッ、もうあいつの処刑は終わっただろう、もしかしてゴーストになって私に復讐しようとしてるのかもな・・・」
「・・・アターシャー(クソビッチ)のくせに鋭いじゃないか・・・」
「無事にゴーストになれたかな、この世に強い恨みと憎しみ、そして未練を残して死ねば、確率は低いがゴーストになる・・・と言われてる」
「・・・」
「最初はあいつが無駄な努力をするのを見て暇潰しをしようと思っていたのだが・・・私はあの子の話を聞いて、不覚にも哀れだと思ってしまった、本当に私らしくないな・・・だから・・・処刑から逃れられないのなら・・・せめてゴーストにでもなって、愛する人の側にずっと居られたらいいな・・・そう思ったのだ」
「・・・っ」
「あれだけ怒っていたし、私を憎んでいたのだから、かなり強力なゴーストになったかもな、私に復讐する為に、今この部屋に居るかもしれない・・・まぁ、部屋に危険なものは無いし、私を殺す事はできないだろうが・・・」
「・・・」
「・・・なーんてね、そんな小説みたいな事ある訳ないか・・・私も疲れてるのかな、もう一眠りするか・・・」
「・・・」
・・・そして私はアターシャー(クソビッチ)の顔に書いた落書きを綺麗に消してお部屋を後にしたのです、き・・・今日のところはこれくらいで許してやるの!。
でも全裸は恥ずかしいな、誰にも見えないにしても落ち着かないし、もし見える人が居たら恥ずかしくて死ねる・・・死んでるけど。
「服を何とかできないかな、・・・ふん!・・・ぬんっ!、きぇぇぇっ!・・・ダメだ全裸だ」
「これなら・・・シャイニングレイ!」
ぺかぁ・・・
「やった!、すごく疲れるけど大事なところだけは謎の光に包まれた、服は・・・今はできる気がしないなぁ、そのうち何とかしよう」
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