第3話 私が考えた重力理論の二度目の提出
1、私の重力理論についての変遷を記した導入
これは私が書いた「近づく天体と遠ざかる天体」「私が二十六年間考えた重力理論の詩論」「私の独自研究の重力理論におけるエントロピー」「私の独自研究の重力理論における時空の歪み」を私がさらに考察した独自研究の重力理論である。これらの四つの重力理論の中心的着想を放棄して、修正された重力理論を提出する。
私は、主観が認識する光の軌道の複雑さによって重力が発生すると考えていた。これは、重力が宇宙全体に力を及ぼすには、主観という要素を導入しなければ、具体的な力の発生する仕組みが想像できなかったからである。重力は、宇宙全体と主観の関係によって決まると考えていた。しかし、人類の個体Aと個体Bの両者がどうして似たような重力の影響を受けるのか、そのことの仕組みが説明できなかった。地球表層の人類の主観Aと主観Bは、客体世界においてはまったく関係のないかけ離れた位置に存在していて、似たような主観を持ったために似たような重力の影響を受ける位置に発現するのかもしれないと考えた。その可能性はまだ否定できない。しかし、それはまちがっているのではないかと、結局、自己の検討によって考えるに至った。
2、恥ずかしながら過去の独自研究を放棄して新しい重力理論を提示する
私は「重力は、宇宙全体と主観の関係によって決まる」という独自研究を放棄しなければならない。
深く考えた結果たどり着いた見解であると自信を持って提示した「私が二十六年間考えた重力理論の詩論」であるが、結局、それから三年間、さらに考えた結果、それはまちがっていたといわなければならなくなった。これにより、私の考察姿勢に大きな不信感を与えてしまうことになるだろう。しかし、重力が主観によって発生するなら、人類の主観Aと主観Bが似たような重力の環境に置かれることの説明がどうしてもできないのである。そのため、重力の発生を主観という概念を導入して説明したかつての独自研究をみずから放棄しなければならない。しかし、かつての私の重力理論には重力について考える手がかりにたどりついていると自負して、もう一度、私の独自研究の重力理論を再検討した。そして、重力が主観によって発生するという理論から主観という要素を取り去り、かつての重力理論を説明するとするならどうなるのかを行った。
3、私の二度目に提出する重力理論
重力について、次のような修正した見解を考えた。
「重力は、光が届かないことによって発生する。」
重力は、光と光と光の間で、『光が届かなくなった一個の光』に対して、『光が届いている二個の光』と『光が届かなくなった一個の光』に対して発生する力である。『光が届いている二個の光』の間では重力は発生しないが、『光が届かなくなった一個の光』に対して、その二個の光は引き寄せられ、重力を発生させる。光はお互いに等速移動をしているため、等速移動の関係性を維持するためには、光が届かなくなると、『届かなくなった光』以外の光すべてがその光に向かって『届かなくなった光』の方向へ引き寄せられるからである。この光の等速移動の関係性が重力であると私は考えるのである。
重力が『届かなくなった光』に対して発生することが、『届かなくなった光』に対してそれ以外の光が総量的に押し出されるために重力が発生するのか。つまり、重力の原因が『届かなくなった光』以外の光にあるのか。それとも、それぞれの光が『届かなくなった光』に対して等速移動の関係性を復元しようとするために重力が発生するのか。つまり、重力の原因が『届かなくなった光』とそれ以外の光の両者の関係性にあるのか。それは今の私にはまだわからない。
リンゴが木から落ちる場合、重力がどう発生するか。それは、リンゴに大地からの光が届かないことによって、リンゴに大地との間に重力が発生していた。リンゴはへたの支える力が弱くなっていき、地球の重力よりへたの支える力が弱くなった時、リンゴは大地に落ちる。このとき、リンゴと大地を見ていた主観は、関係なかったと私は述べなければならない。地球は、届かない光によって宇宙全体に重力を発生させ、リンゴを大地の方向へ移動させるのである。
人類が大地に重力で抑えつけられているのは、地球内部から光が届かないことによって重力が発生するからである。
地球が太陽のまわりを周るのは、太陽の光が地球に届かなかった量だけ、宇宙全体によって太陽の方向へ地球に重力が発生するからである。
重力が強くなる場合と、重力が弱くなる場合は、何がちがうのか。重力が強くなるとは加速度が発生することであり、それが光が届かないことによって発生するというのなら、重力が強くなるとは、ある光に別の光たちが届かなくなった数が増えれば増えるほど重力が強くなり加速度が増すことになる。
また、重力が弱くなるとは、減速の方向へ加速度が発生することであり、それは、届かなくなっていた光に光が届き、届かなくなっていた光と関係性を持つことのできた光が増えることによって起こる。
地球表層の地上でボールを上に打ち上げた場合、ボールを打ち上げた初動の加速度の発生は、衝撃が加わったことにより、ボールに届かない光が増えたことによって起こるはずである。また、打ち上げられたボールが少しずつ減速して、どこかで落下を始める。これは、ずっと、届かなくなった光に光が届くようになり、届かなくなっていた光との関係性を持つことができた量が増えることによって減速する加速度が発生することになる。
太陽の周りをまわる地球の公転をこの重力理論で考えるとどうなるか。太陽と地球の間に重力が発生していて、重力は加速度を発生させずに太陽と地球の位置を安定させている。この場合、太陽内部の光が地球内部の光に届かないため、重力が発生していると考えることができる。
光が届かないと重力が発生するというなら、天の川銀河から遠ざかっていく加速的に膨張する宇宙で働くはずの重力はどうなるのか。宇宙の遠い天体が地球に対して遠ざかるということは、地球に対して重力が弱まっていくということである。重力が弱まるということは、届かなかった光との関係性がどんどんたくさんつながるようになっていて、それが宇宙全体で起こっているということである。つまり、宇宙が加速度的に膨張していることは、宇宙の中の『届かなかった光』が届くようになっている、つまり、宇宙の中の光がどんどん地球に届くようになっているということである。
4、届かなかった光と時空の歪みの関係
重力が強くなるとは、物体に加速度が増すことであり、それは光が届かないことによって起こる。この場合、時空の歪みはどうなるか。加速度が増えた物体には光が届いていないので、加速度が増えた物体は『届かなかった光』との関係性を構築する作用が成立することが難しくなり、我々に光が届かなかっただけ時間の流れが遅くなる。我々に届いた光にとっては、届かなかった光が関わる時間の分だけ時間が欠如して、その分だけ時間が遅くなる。つまり、光が届かないことによって重力が発生して、光が届かないことによって時間が遅くなる。
また、重力が強くなり、加速度が増した場合、空間はどうなるのか。重力は、光が届かないことによって発生して、加速度は光が届かないことによって発生する。空間は『届かなかった光』が欠如しただけ収縮する。
光が重力によって曲がる場合はどうなるか。光が直進しているとすると、『届かなかった光』の側の空間が収縮して、届く光の側の空間が伸長して、『届かなかった光』の側に向かって曲がる。
これが『届かなかった光』と時空の歪みの関係である。
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