プライベート・ガイド
住んでいたアパートの隣室が結構な刃傷沙汰の現場となり逃げるように引越し、新しい土地に慣れておこうと思い、近所に住んでいた後輩を一食分の奢りと引き換えに連れ出し案内を頼んだのだが、閉店したデパートの前で「高校の頃はよく友達と来ましたし、ここの四階のトイレで父が首を吊ったんです」と微笑み、駅前の封鎖された地下道入り口の傍で「そこの階段から落ちて兄さんが首を折ったんですけど、冬だとあったかくて雪もないから便利なんですよね、地下道」と不吉な逸話を穏やかに語るので、後輩が趣味の悪い嘘つきなのか彼の親族が不運なのかあるいはこの街自体に何かしらの問題があるのか、どれが正しいのかを俺は判断できずにいる。
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