先輩の言う通り

 田舎のコンビニの深夜バイトはどうしようもなく暇なので、よくシフトが重なる後輩に「駅前の歩道橋では昔死んだ学生の祟りで月に一度は必ず死亡事故が起きている」「市役所近くの公園の砂場には夜中の二時から三時まで左腕が一本埋まっている」などと思いついた怪談を吹き込み怖がるのを見て楽しんでいたのだが、最近になって後輩しか知らないはずの嘘の怪談についての体験談や目撃情報が噂されるようになり、後輩に尋ねてみると「俺先輩のことめちゃくちゃ尊敬してるんで、そんな先輩が嘘なんか言う訳がないし、じゃあ全部本当で当たり前じゃないですか」と笑うので、俺はこれまで話した怪談の内容を思い出すべきかどうかを悩んでいる。

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