冷たい人
喫煙所に入ってきた先輩が脇目も振らずに目の前まで詰め寄ってきたかと思うと突然左手を差し出してきたので、横着な恐喝だろうかと咥え煙草のままぼんやりと眺めていたら「普通こう来たら握手するもんだろ」と知らない常識に基づいて詰られ、釈然としないものを感じながらも言われた通りに握った手があまりに冷たかったので、咄嗟に視線を上げれば「ここんとこずっとこうだし、飯も煙草の味も分かんないし、俺死んでたりすんのかね」とこちらを見下ろして笑う先輩の目はどうしようもなく真っ黒で、俺はただ黙って冷たい手を握り締める。
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