掌紋照合:不適

 バイト先の喫煙所で会った先輩の首がどう見ても人の手形にしか見えない痣にべったりと覆われていたので、何ですかそれ痴情とかもつれたんですかと尋ねたら「今朝起きたらついてた」と言ってから当然のように俺の手を取り赤黒い痣の上に重ねて「お前じゃなさそうだな、案外手大きいもんな」と離して咥え煙草のままで器用に口の端だけ持ち上げてみせるので、そういうことをするからじゃないだろうかと思うが口には出さず、首輪のような指痕が滲む生白い首筋から俺はどうにか目を逸らそうとする。

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