贔屓の引き回し

 行ったやつが不幸になる、そういう噂の廃屋でした。俺と先輩で行って、噂通りに位牌がぎっちり詰まった仏壇とか床一面に敷かれた空の額縁とか、やべーなって写真撮って家出て、その帰り道に先輩の両手の薬指の爪が剥げて、俺には兄貴が事故ったとか連絡が来たんで、俺だけも一度戻って位牌と額縁バキ割ってから家帰りました。

 だって腹立つでしょう何で俺じゃなくて兄貴の方なんだって。

 昔っからみんな兄貴目当てなんですよ。兄貴、顔も性格も全部完璧なんで。俺オバケにまで踏み台にされんのかって、カッとなっちゃって。

 で、これです。左腕と、右耳も駄目になりました。ちゃんと祟ってもらえたんで、満足してます。

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