勢いと雰囲気とノリの軽さと

 弟はノリがよくて友達も多いが、その場の勢いでやらかしては「そんなつもりじゃなかった」「悪ふざけだった」と反省した顔で助けを求めてくるのが常だったし、俺もそれで何となく許してきてしまったのだけども、心中の家近場の心霊スポットに行ってきたのはその場のノリで顔のない家族写真でいっぱいのアルバムを持ち帰ってきたのは友人に煽られたからと馬鹿の煮凝りのような説明をしてから「そんなつもりじゃなかった、助けてくれよ兄ちゃん」と縋られてはいるが、深夜にも関わらず鳴り続けるチャイムと先程から見知らぬ家族が一列に並ぶ映像を映し続けるテレビ画面を見て、今回はどうしようもないのだろうなと諦めながら震える弟の肩を抱いている。

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