果ての道連れ、夜の誘い
雨が降るとベランダには出られない。だから、雨の日は台所で煙草を吸っている。
夜、換気扇の下で煙草を吸っていると、一本の中ほどまで吸い進んだ頃に背後から「■■に行こう、お前行きたがってたろ、今なら俺も都合がいいから」と呼びかけられるのだけども、どうもその声は去年の夏に行方不明になった先輩のようなのだけども誘われている先も換気扇の唸りに掻き消されて聞こえないので、課題やバイトを理由に断ると気配は消えるのだが、そろそろ断る理由が思いつかなくなってきたことにぼんやりとした不安を抱きつつもどうするべきかはまだ決められず、そうして短くなった煙草を灰皿に押しつけて、俺は臨終の息のように煙を吐く。
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