おもいでうろぼろ
死んだ父は命日の夜になると夢枕に立って「お前と行ったキャンプ場で夜に淹れたコーヒーは美味かった」だの「母さんに内緒で夜中にドライブに行ったときはお前はずっと窓の外を見ていた」などと生前に息子と重ねた思い出を懐かしむような話をしてくれるのだけども、問題は俺にはその思い出に全く覚えがないので、これは俺が薄情にも忘れてしまっているのかそれとも父が相手を間違えているのかまさかこれは父ではないのだろうかと色んなことを思いつくが、今更確認するのも何となくおそろしく、俺はただ黙って遺影と同じ穏やかな表情で父が語る心当たりのない輝かしい親子の思い出を聞いている。
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