踏切の兄は■■なし
大学からの帰り道にいつも通る踏切、その遮断機の側にひっそりと花束が供えられているのに気づいてからというもの、サークルの友人やバイト先の先輩から「お兄さんによろしく」だの「お兄さんにはいつもお世話になっているから」と声を掛けられたり土産や菓子折りを貰ったりすることが増えたのだが、兄が何をしたのかを問うとどいつもこいつもうっすら笑うばかりで何も教えてはくれないし、そもそも俺に兄はいないということを幾度主張しても聞き入れてもらえず、今日もバイト先で覚えのない兄への感謝と供物を渡され途方に暮れつつ帰路についた俺の足元で朽ちかけた菊の花弁は点滅する遮断機の灯に赤く染まっている。
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