十字路の先輩
最近聞いた話だよ。噂だし、おまじないだし、つまるところは殆ど嘘だ。
夕暮れに十字路の真ん中に立つ。夕陽を背にして、目の前に一本、右手左手背中に一本、道が割り振れるように、な。
これで何が分かるって、自分の前世で関わったものが分かる。
右手から来た人は、いつかの自分と親しかった人。左手から来た人は憎かった人。背中から追い越していくのは恋しかった人だ。
正面から、夕日と自分に向かってきたやつはな。
自分を殺した相手なんだと。どうだ、心当たりとか身に覚えとかあるか?
十字路の真ん中、赤々と朽ちる夕日を背にして、先輩は晴れやかに笑う。
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