見守りあるいは監視もしくは、

 月に一度、近所に住む叔父が『一人暮らしの甥への視察』という名目で俺の住むアパートに訪れるのだが、いつも手土産代わりに安酒と食料に紹介に困る類の映画のDVDを持ってきてくれるので、結果悪友との家飲みのような様相を呈しては映画に飽きたか酔いが回ったかしたくらいのタイミングで好き勝手に寝たり起きたりしている。

 そうして酔い潰れた深夜、目を覚ますと叔父が何も言わずにこちらをじっと覗き込んでいるのだが、下手に騒いで月に一度の酒や映画がふいになるのも面白くないと理由をつけて、俺は何も気づいていないし見たものも忘れているということにして、叔父と平穏な付き合いを続けている。

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