ポルターガイスト、お前だったのか

 家賃の安さにつられて入居した築十年のマンションは、これまでと比べれば隣人がベランダ伝いに刺しに来たりしないので結構気に入っているのだけども、朝から晩まで打撃音から足音まで種類豊富な家鳴りがするのが問題で、早朝からの地団駄じみた足音の群れにうんざりして三ヶ月分のバイト代をつぎ込んでお祓いを頼んだところ、見事静かな日常を手に入れることができたのだが、毎朝の連打がなくなったせいか遅刻の回数は増えたし風呂場の戸を蹴る音が消えたので風呂の湯が溢れてんのにも気づけないしで、もしかして俺はこれまで家鳴りに介助されていたのではと思い始めるが、お祓いを済ませた部屋はただ静まり返っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る