赤眼視
七つ違いの兄とたまに一緒に映画を見に行くことがあるし、その帰りに飲みに行くこともある。酒が強くない兄が酔い始めると、俺が子供の頃に遊びに出たきり日が暮れても戻らないので探したら近所の踏切の側で裸足でぼんやり立っていたという話をいつも始めるのだが、話を続けるうちに右目だけが詫びて泣き疲れたかのように真っ赤に充血していくのだ。
いつからそうなるようになったのかはどうも思い出せないしそもそもその話をしたがる理由も見当がつかずにいるけれども、それを聞くと恐らくひどいことになるという予感があるので、俺は気づいていないふりをしつつ酔った兄が潰れるまで適当に話を聞き流すようにしている。
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