ロスタイム・タイムオーバー

 俺の住むさして広くないアパートの一室に雨の夜にどろどろに汚れて目元にアザを作った先輩が転がり込み居候になってひと月になるが、生活態度全般及び家事について二回ほどぶん殴った結果、雑談の相手やゴミ捨てなどについては概ね満足のいくものを提供してもらえるようになり、同居人としては大変便利なので先輩が何をやらかしてきたのかは俺としてはどうでもいいのだが、たまに明け方に台所の換気扇下で煙草を吸っているのを見かけるたびに首やら片足だの身体のどこかしらが欠けたようになっているので、恐らくは手遅れなのだろうなということだけは何となく分かっている。

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