はぐれ若人従順派

 バイト先の飲み会に付き合って終電を逃し、せめて寝床だけでもと先輩の家に転がり込んだのだけども、深夜に唸り声で目が覚めて隣を見ればそれなりに酔っていた先輩がひどく魘されていて、夢見が悪いのだろうかと眺めていたらその身体が一息に壁際まで引きずられていったので慌てて起こせば、先輩自身は「この部屋こういうことよくあるから」と半眼で答えてまた寝直そうとするので、どうして抵抗しないのかと問えば「別に抵抗する理由もないし」と欠伸交じりに言ってその場で布団をかぶり直して眠り始めたので、これは豪胆なのか自棄なのかを考えながら、俺は薄いタオルケットに覆われた痩せた背中を眺めている。

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