ある時は兄、またある時は
入居初日から本棚の三段目に居座っている生首は、冷蔵庫の中身や食生活に煙草の本数などにケチをつけたり部屋の中をごろごろと転がっていたりするのだけども、害はないが鬱陶しいので何なんだお前と問えば「お前の兄さんだよ」と堂々とした答えが返ってきたので、とりあえずは兄ということで納得していたのだが、最近では買い物に出た帰りに弟を名乗る若者に挨拶されたり先輩にはお世話になっていますと日曜の朝七時に挨拶に来たアロハの青年など妙な人間が堂々と訪れては土産だの供物だのを置いていくので、俺の立ち位置や生首の正体についてたまに考えたりもするが、灰皿に吸い殻が増えるばかりで一向に答えは出そうにない。
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