暗い枕辺

 夜道で電柱の陰からこちらを覗いていたスーツの男と目が合ったことが関係しているかどうかは不明だが、このところ寝ようとすると枕元に薄い影のようなものが立つようになって、特に気にせず放っておいたら学生服の少年や振袖の老婆にぐじぐじとした肉塊だったりと多彩なものが現れるようになり、器用なものだと思っていたら、ある夜かれこれ数年は連絡も取っていない兄がこちらを覗き込んできたので悲鳴を上げてしまい、そのせいかこの一週間は寝ようとすると兄の姿をしたものが枕元に現れるという状況になってしまったので、そろそろ昔本人にしたように思い切りぶん殴った方がいいだろうなと腹を決めて床に就く準備をする。

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