　去年の夏に交通事故で死んだ先輩は毎週土曜の夜七時になると俺の住む安アパートをのドアをがんがんがんと叩いて「どっか遊びに行こうぜ俺暇なんだよ」とアホの小学生のように呼びかけてくるのだけども、心霊現象なのに単純にうるさいのが問題で、どうにか成仏してもらおうと玄関側に塩や酒を供えても全く効果はなかったしドアを開けても廊下には誰もいないし、あの人どうしたら満足するんだろうなと生前と変わらずよく通る声を聞きながら、俺は事故る直前に家に来た先輩が理由も言わずに押し付けていった未開封のハイライトの一箱を手にして賑やかな玄関を見つめている。