第一希望:行けたら行く
帰省したはいいが無駄に多い親戚のおかげで盆の支度を手伝うタイミングをみすみす逃したのが俺と甥で、こそこそと引きこもった洋間のソファの両端で夏休みらしくつまらない午後ローを眺めていたら「こないだ進路調査票に何にも書けなくて叱られたんですよ」と甥が高校生らしいことを呟くので、年上という以外は何もない叔父としてはじゃあ何になってもいいから俺の葬式には来てくれよと陰気な茶々を入れるのが精々で、それでもあいつは「弔問客って書いたら叱られますよね」と返してくれた。
結局あいつなんて書いたんだろうと俺は今更聞けもしない問いを抱えて、花まみれの祭壇の中でぎこちなく笑う甥の遺影を親族席の端から見上げている。
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