せめて銘柄だけでも
連勤明けの金曜の夜、ようやく帰りついた自宅の玄関を開けた途端に知らない煙草の匂いがするので周囲を見回せば暗い台所のシンクの縁で生首が紫煙を燻らせていて、こちらに気づいたのかじろりと横目を向けて「お疲れさん」と煙を吐いてからシンクに転がり込んだので恐る恐る近寄って覗き込んでも首どころか水滴一つなく、やけに甘ったるい残り香が漂う暗闇の中、俺は一切心当たりのない妙なものに労わられた上に存外悪い気がしていないことに戸惑っている。
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