第3話 クライマックスファーストステージ

 クライマックスファーストステージ。10月の仙台は涼しい。というか、ナイターではもう寒い。初戦の8日土曜日は小雨まじりの天気で、15度という低さだ。

 ホークスのメンバーの中には、体調を崩している者もいた。ふだんドーム球場でしているので、オープンスタジアムの小雨まじりの試合には慣れていない。

 ピッチャーの和久は、寒さのせいか精彩がない。毎回のようにランナーを出している。そこにイーグルスメンバーはつけいった。

 5回、コジローが内野安打で出塁。西山が四球を選び、浅川はあわやホームランというライトフライ。タッチアップでコジローがサードへ進塁。その後、西山はセカンドへ盗塁。島本は四球で満塁。ここで阿川が出てきて、きっちりとスクイズを決め、先取点。その後、鈴本がライト前にはじき返し、2点追加。

 3点をもらった則山は、渾身のピッチング。毎回三振をとる力投で7回を投げきった。8回は宮田。9回は松木がおさえ、3対0で初戦をものにした。


 翌日曜日の試合、ホークスのメンバーは大幅に変わっていた。今日は晴れているので、寒さはないのだが、昨日の小雨まじりの試合で体調を崩した選手が多かったようだ。

 ホークスの投手は、エース千田。絶妙な投球で、イーグルスは6回まで0点におさえられている。しかし、多くの球数を投げさせ、100球を越えさせた。

 イーグルスの投手岸田は、緩急をおりまぜた投球で、ホークス打線を翻弄していたが、4回に柳川にソロホームランを打たれていた。

 7回裏、マウンドには千田がいた。100球を越えたが、1点あれば自分でおさえられると考えたのだろう。

 8番深田は内野ゴロ。9番大山はセカンドフライと簡単にツーアウトをとられた。だが、コジローはぼてぼてのサードゴロで1塁セーフ。西山の2球目、コジローが盗塁。キャッチャー戸井は強肩で知られている。だが、体調不良なのか、高めのボールを投げてしまい、ボールはセンターに転がっていった。コジローはゆうゆうとサードへ進塁。意気消沈したのか、千田は西山に四球を与え、ここで交代。リリーフは森山。9回登板予定で肩をあたためはじめたところで、出番がやってきた。8球の投球練習に、いつもの精彩がない。3番浅川。森山の甘い球を見逃さず、レフトスタンドに運んだ。逆転3ラン。スタジアムは大歓声に包まれた。試合は、そのまま3対1でイーグルスが勝利した。これでクライマックスファーストステージをイーグルスが制したのである。 

 次は、バファローズとのファイナルステージ。敵地で、ひとつのアドバンテージがバファローズに与えられているが、イーグルスメンバーは静かに燃えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る