猫天使 静奈を知る
第15話 お留守番?
少し話を戻そう。
此処まで何度か出てきた『神に愛された者』を詳しく掘り下げようと思う。
聖人達が亡くなってから、新しく出てきた『神に愛された者』
その者達が主となった現在の国の在り方について。
まず役割、
例えば、『神に愛された者』 が10人いたとしよう、
7人が異形から防衛、3人が技術開発と役割分担は防衛が最重要である。
防衛は言葉の通り。
我々の生活圏を守る結界を維持したり、異形を神の力で殲滅する。
技術開発は少しややこしい。
偉業を倒すための武具の作成、生活に使える道具の作成、怪我人や病人の治療、
他にも細かい仕事があるが、主な仕事はこの3つ。
この様に役割を分け、
日々、我々の生活を守るため、豊かにするために動いてくださっている。
過去、聖人がそれぞれ担当していた地区、
『神に愛された者』が引き継ぐかと思われたが、【負の期間】と呼ばれる時期に禁止された。
かと言って、政治に全く関わっていないのかと言われるとそうでは無い。
とある地域では、地区の権力者No2に大聖女と呼ばれる役職を与え『神に愛された者』が政治に関わっている。
此処まで要領を得ない説明が続いたが、これは仕方のない事なのだ。
『神に愛された者』に付いては情報がかなり秘匿されている。
先程書いた病の治療も極秘に行われ、その情報も一般人に公開される事は一部を除いてない。
だが、『神に愛された者』方々は我々人類の為動いてくれている。
神は悪い道へは案内しないのだから、我々に情報が回らないとしても、きっと良い方向へ進むから。
さぁ神に感謝しましょう。
ー現在の在り方 歴史教本より抜粋ー
今日は朝からいつもと違っていた。
朝食を食べるまでは同じ。
食べ終わってから今日も遊ぶのだろう、どうやって遊んであげようか考えていた猫だったが、
静奈はリュックを取り出して荷物をまとめていた。
「にゃー。」
「あ、そうだった。
猫ちゃん、今日は私行かないといけないところがあるの、お留守番よろしくね。」
(…何処に行くんだろ。)
纏めた荷物は、巫女服2セットと小道具だけでリュックにはまだ空きがある。
(入れば付いていけるのでは?)
「ん?」
そう考えながらリュックを見つめる猫、それを更に見つめている静奈。
「「……」」
(今だっ!)
リュックに向かって飛び付く、が直ぐに阻止された。
静奈は猫の様子から、リュックの中に入りたいんだろうとわかっていた。ネットで猫の事を調べた時、箱や袋の中など狭い場所を好むと知っていたのだ。
「あー!ダメダメ。」
「にゃーー。」
「そんな不満そうに泣いてもダメだよぉ。」
猫と共に過ごしてしばらく経つが、狭い場所に篭ってた事は無く、これが噂のネットの嘘という奴なのかもしれないと考えていた。
が、今回の件で事実だったと心の中で謝っていた。
「お留守番。」
「にゃーーーーー。」
猫は願いにより、夜には静奈と共に過ごさないといけない、
そのため最初からなんとかして付いていかないと目の前に急に現れる事になり、力のことがバレてしまう。
「夜には帰ってくるよ。
だから安心sーー」
「にゃ。」
「えぇ〜〜!」
(なら良いや。)
泊まりの用事ではないとわかった瞬間、少し離れて横になる。
その姿が静奈には急に猫が興味を失った様に見え、驚きを通り越して少し落ち込んでしまった。
「行っちゃうよ?!」
「にゃー。」
「本当に行っちゃうよ?!
いや、休む事はできないんだけど…」
「にゃー。」
涙目で猫をチラチラ見ながらリュックを持って部屋をでる。
廊下の足音は偶に止まっている。
多分見送ってくれないかと期待しているんだろう、その証拠にいつもはキチンと閉めるはずの障子が猫が通れるぐらい開いてる。
(さぁ、行こう。)
静奈が玄関から出たのを確認した猫は、軽く伸びをしたあと、静奈の後を追う。
そう、猫は夜の願いの件が無くても、静奈には付いて行くつもりだった。
理由は、
(家にいるだけじゃ暇なんだよね。)
暇だったから。
人が多い場所を通る時、室内に入る時、色々と問題はある筈だが、なんとかなるだろうと軽く考え静奈を追いかける。
ガサガサ
「?」
葉っぱと猫が擦れる音が気になったのか、度々後ろを向く静奈。
「気のせい、かな?」
(バレてない。
人間と鬼ごっこした時の経験が生きてる。)
逃げる側が追う側に、条件は同じくバレないこと、少しやり方が違うが新鮮でとても楽しい。
そのうち何度も違和感を感じた静奈が怖がってしまい早歩きになったりもした。
(あ、出た。)
慣れてしまっていたから忘れていたが、静奈の家は不思議空間に存在していた。
久しぶりに感じる空気、慣れすぎて逆に違和感を感じる。
「お待ちしておりました。」
「あ、私はーー」
「時間が押しております、車へ案内しますのでこちらへ。」
完全武装の人に囲まれて連れて行かれた。
正解には案内だが、雰囲気が重すぎて連行されている様にしか見えなかった。
「お乗りください。」
「あの、御名前をーー」
「私は貴方に名乗る名はありません。」
冷たい、少しでも近寄ろうと話しを振る静奈は徹底的に無視されている。
バタン!
車の扉は強く閉められ、
かなりのスピードを出して走り去っていった。
そう、
(置いて行かれた!)
猫を置いて…
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