第31話 委員長もウトウト?
五時間目の途中。
「羽月さーん? 大丈夫ですか?」
「は、はい大丈夫です」
「羽月さんが眠そうにしているなんて珍しいですね」
「すみません……」
「大丈夫ですよ。しんどかったら保健室に行っても大丈夫ですからね」
「ありがとうございます」
そんな会話が繰り広げられていた。遠目で見てもわかるほど委員長はウトウトしていた。
「沙織ちゃん大丈夫なのかな」
「鏡花ちゃんに引き続いて珍しいね」
その異常事態に女子たちを含め、教室が少し騒がしくなっていた。
かく言う俺もしっかり驚いていた。
(どうかしたのかな。前俺に注意してきてたのに自分までなるなんてよっぽど忙しかったんだろうな)
まぁ、驚いてはいたものの、人は誰だってこの五時間目の睡魔には抗えないと言うことだろう。
そう納得して、俺は再び眠りへとつこうとしたとき、
「葉山くんは寝過ぎなのでもっと気をつけてくださいね」
「は……はい!」
今は見られていないと思っていたのに、直ぐにバレてしまった。
くそ、完全に目をつけられてしまってるよなぁ。
クラスメイトの笑い声を受けながら、眠い目を擦り授業という修行を耐え忍んだ。
「委員長、大丈夫なのか?」
授業が全て終わり放課後になり、少し気になっていた委員長の様子を訊きに行った。
「ああ、葉山くん。ちょっと寝不足なだけよ」
「珍しいね」
「私だって寝不足な時くらいあるわよ」
そう言って一あくび入れてくる委員長。
その仕草に、ほんとに疲れているんだなと理解できる。
「何かあった?」
「ちょっと友達のこと助けてただけだから気にしないで」
「何か手伝って欲しいことがあれば言ってくれたら手伝うからな」
「そう?」
「ああ」
委員長には色々とお世話になることがあったので、助けれることがあれば手助けしてあげたいのだが。
委員長は少し考える仕草を入れると、一つ思いついたように声を上げる。
「あっ、葉山くんになら……」
「何かあるのか?」
「…………ああ、やっぱりなんでもないや。気にしないで」
「そう?」
明らかに何かありそうな雰囲気なのだが。まぁ隠すのにも事情があるのだろう。
友達の手伝いと言っていたし、責任感の強い委員長のことだ。全部終わるまで絶対に辞めないだろうしなぁ。
「まぁ、無理ない程度にな」
「それはお互い様でしょ。葉山くんも最近眠そうだし」
「まぁ、俺の場合はゲームだから自業自得なんだよ」
「そうなのね」
「そうそう」
ゲームなんてほんとに自己満足の何物でもない。辞めようと思えば直ぐに辞めれるのにやっているのだから、完全に自分が悪い。
「葉山くんもゲーム頑張ってね」
「あ、ああ。ありがとう。委員長も友達の手伝いがんばれ」
「ええ。ありがとう」
そうお礼を言うと委員長は帰って行った。少し急ぎ目で帰っているのを見ると、これからも友達の約束があるのかなと、勝手な想像をしつつ俺は補習へと向かった。
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