第26話 授業中の眠気

「ふわーっ…………」


 次の日、授業が始まって早々に大きなあくびが出てきた。


 結局昨日は外が明るくなるまでやっていて、睡眠時間はほぼゼロになってしまった。

 

「眠すぎる……」


 重い瞼を必死にこじ開けながら、授業を受ける。しかし、興味のある話ならともかく、全く興味のわかない授業だ。

 そんな気合いが何分も持つわけもなかった。


「おーい、葉山! 目を瞑って瞼の裏にでも先生がいるのか!?」

「えっ……、はっ、す、すみません!」

「ちゃんと聞けよー!」

「はい……」


 先生の言葉に目を覚ますと、ざわざわした教室の中でみんなが目線をこちらへ向けていた。

 顔が熱くなるのを感じながら、受け答えをしてからまた授業を受ける。とは言っても、授業のほとんどを寝ていたらしく、もう終わる間近だった。


 昼休み


「葉山さん大丈夫ですか?」


 心配そうな顔で鏡花にそう訊かれる。


「ああ、大丈夫だ。心配かけてごめんな」

「ほんとに大丈夫なのかしらね。いつもと段違いで体調悪そうよ」

「気のせいだよ」

「もしかして、あの後も一人で狩りしてたんですか?」

「な、なんのことだろうな」


 くっ、鏡花のやつ鋭い。しかし、二人にバレるわけにはいかないので隠し通すしかない。


「葉山がそうやってはぐらかす時は嘘をつく時なのよね」

「バレバレですよ」

「くっ……。勘のいい双子は嫌いだよ」


 速攻でバレた。やっぱりそんなにも分かりやすいものなのだろうか。


「言ってくれたら残ったのに」

「そうですよ」

「それはダメだ。彩花さんは弁当作ってくれてるし、鏡花さんも毎朝彩花さんに教わってるんだろ? それじゃあ余計にしんどくなるじゃないか」

「まぁ、私たちも葉山さんと同じようになりますよね」

「鏡花が授業中ウトウトなんてしてたら怪しまれかねないわよ」


 鏡花のような真面目な生徒が寝るなんて、理由があるに違いないもんな。それでいつもより一段と眠そうにしている俺。

 勘のいいやつは気づくかもしれないよな。


「だから、こう言うのは俺に任せてくれ。いつものアニメの時間を削るだけだから」

「それならいいんだけど……」

「絶対無理はしないでくださいね!」


 二人ともテストの件があったため、体調には敏感になっているみたいだ。二人に心配をかけるようなことはしない様に心がけなきゃな。


「取り敢えず、私の弁当でも食べて元気出して」

「おおー! ありがとう!」

「私ももっと上達して葉山さんに食べてもらいますからね!」

「ああ、楽しみにしてるよ」


 いくら授業中は眠くても、この昼休みは目がしっかりと覚めて、美味しいご飯を楽しめるのだった。

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