第3話 オフ会!?
カプリス:ルーナ! ヒールを!
ルーナ:分かりました! ハイヒール!
薄暗いダンジョンの中に俺たちは居た。俺は魔物の周りを縦横無尽に駆け回り、魔物の注意を引いていく。
マール:カプリス! 今助けるからね! エクスプロージョン!!
カプリス:ちょっ!
魔物と睨めっこしている途中、いきなり当たりが眩しく光る。それと同時に魔物たちが次々と死んでいく。
マール:ふう、これでよし
カプリス:おい! 俺を殺す気か!!
腰に手を当て誇らしげに立っているマールに、俺は怒り気味でチャットを送る。
カプリス:そんな大魔法使わなくても倒せただろ!!
マール:何よ! 私の攻撃はカプリスには当たらないでしょ!
カプリス:それはそうだけど、あんなのいきなりきたらびっくりするって!
マール:だって、好きな人がピンチだったら、慌てちゃうでしょ
カプリス:…………
マール:何か言ってよ!
カプリス:そうは言ってもなぁ
モジモジとするエモートをいれながらそんなことを呟いてこられたら、何も言い返せないじゃないか。
ルーナ:まあまあ二人とも、上手く魔物は倒せたんだし、良しとしましょうよ
カプリス:まあ、そうだな
マール:むぅ……
ルーナに宥められながら一旦は落ち着く。
ルーナ:今日は一旦帰りますか。色々素材も手に入りましたし
カプリス:そうだな、なんだかんだで四時間も狩りをしていたしな
マール:もう本当に疲れたわ!
俺たちは素材を拾い集めると帰路についた。
素材を倉庫にしまうとギルドハウスで一息ついていた。
カプリス:今日もいい感じに素材が集まったし、レベルも上がったなぁ
ルーナ:毎日頑張ってますからね
マール:一年くらいこの三人で狩りしてるから効率も上がってるわよね
カプリス:だなぁ。
マール:でもこのままでいいのかしら
ルーナ:どういうこと?
マール:ルーナは最初の目的ちゃんと覚えてるでしょ?
ルーナ:あ、うんうん! 覚えてるよ!
ルーナのあからさまな態度にマールがジト目で睨んでいた。これは完璧に忘れていたな。
マール:そろそろどっちか決めてくれてもいいと思うんだけど?
カプリス:そんなこと言われてもなぁ
もうこのままこの関係が続くのでもいいと思うのだが、一年前と比べて随分仲良くなったし。
ルーナ:私も覚悟はできてますよ!
カプリス:お前は忘れてただろww
ルーナ:な、何のことでしょうか……
痛いところをつかれたみたいでルーナはそっぽを向いて誤魔化していた。
マール:とにかく! 私たちはもう選ばれる覚悟も選ばれない覚悟もできてるんだからね!
ルーナ:私も少しド忘れしてただけで、結婚したい気持ちは変わってないですよ!
カプリス:まあまあ、一旦、もちつけ
少し興奮してきた二人を少しずつ宥めていく。
カプリス:今の状態でも十分楽しいだろ? ならそれだけで十分だと思わないか?
ルーナ:全く
マール:思わない!
二人の連携技で即否定された。俺の意見は全く通らないのだろうか。こりゃあもし結婚しても尻に敷かれて終わりそうだなぁ。
カプリス:そう言われても
ルーナ:そろそろ両方のいいところとかも分かったんじゃないですか?
カプリス:まぁそれはだいぶ知れたとは思うけどな
マール:なら、
カプリス:その分悪いところもな
マール:何のことかしら
話を逸らすようにマールは口笛を吹いていた。都合が悪くなったら直ぐに逃げるよなこいつら。
カプリス:まぁ、そう言うわけだから結婚する気はないぞ。
ルーナ:でも、どっちかに決まったらしてくれるんですよね?
カプリス:そうだが、俺に決めれると思っているのか?
マール:そんな男気ないことで威張らないでよ
カプリス:それが俺の数少ない取り柄だからな
自分でも潔いことは自負しているし、優柔不断だから何も否定することはない。
ルーナ:何かカプリスさんが決めれる決め手みたいなのがあればいいんですけどね
カプリス:そんなのはないと思うけど
実際悩んでいるところは二人の中を引き裂きたくないっていう所だけだからな。どっちかが諦めるしかないんだよな。
マール:私たちのいいところをもっと見せつければいいのよ
ルーナ:そのためにはどうしたらいいのかな?
その会話を最後に少し時間が経った。
マール:カプリスって今何歳?
カプリス:はぁ!? 何訊いてんだよ! それはネトゲじゃあ禁句だぞ!
マール:いいじゃない、ギルドチャットだし、私たちも言うからさ
いいのか? いくら信用していると言ってもゲーム内だ。ネットリテラシーという言葉もある。簡単に言ってもいいのだろうか。
そんなことが頭の中でグルグルとしていると、先にルーナがチャットを打ち込んでいた。
ルーナ:じゃあ私たちから言ったら言ってくれますか?
カプリス:いいのか?
マール:ちゃんと言ってくれるって約束してくれるならいいわよ。どっちにしたって変わらないし
カプリス:ああ、わかった。約束する
二人の本気の雰囲気を感じ取り、俺も真剣に頷く。
ルーナ:私は16歳で
マール:私も16歳よ
カプリス:えっ? 本当か?
マール:嘘なんてつくわけないじゃない!
カプリス:ネカマとかでもなく?
ルーナ:現役のJKですよ!
マール:ここまで言ったんだからもちろん言ってくれるわよね
カプリス:当たり前だ
マジか。俺と同い年だなんて。この二人が嘘を言っているような雰囲気もないし、ガチなんだろうな。なら俺も嘘をつくわけにもいかないよな。
カプリス:俺も16歳の男子高校生だ
マール:えっ!? 本当?
カプリス:ああ、間違いない
ルーナ:なら安心してできますよ!
カプリス:何のことだ?
マール:私たちの魅力を最大限知ってもらうために、オフ会を開催します!
カプリス:はあぁ??? マジで何言ってんだよ!
もういきなりのことが多すぎて驚き疲れるぞ。オフ会だあ? 何でそんなものを。
マール:私たち学校では良く告白される人気者なのよ。だからその魅力でカプリスのことも落としちゃうわ!
カプリス:自分で言うか普通
ルーナ:私は全然ですけど、マールはほんとにモテてますよ
マール:ルーナも十分モテてるわよ
と言うことは美少女二人とオフ会ということか。ゲーム関係なしに興味がある。いくら二次元が好きだと言っても、彼女が欲しくない筈がない。
学校で嫌われている分、校外でモテる経験もしてみたいしな。
でも、こんな理由でオフ会をするなんていいのだろうか。
カプリス:わかった。だが、お前らは本当にいいのか? 見ず知らずの男と会うことになっても
マール:大丈夫よ。だってカプリスのこと信じてるし
カプリス:それに、現実で好きになってもネトゲで結婚するとは限らないだろ?
あくまでネット内で結婚しようとしているだけだ。現実とネットはほぼ別人なのに、そんなことで決めれるわけがない。
ルーナ:そうかもしれませんが、私たちはカプリスさんと結婚したいんです。そのためならできることはしたいんです!
二人の意思は本物みたいだな。俺には断る理由もないし、二人がいいならやってみるか。
カプリス:わかった。二人がいいならオフ会をしよう
ルーナ:本当ですか!?
マール:やった!!
どれだけ嬉しかったのだろうか、二人は手を合わせて喜んでいる。
カプリス:しかし、どんな奴が来てもガッカリするなよ
マール:当たり前よ。私たちはカプリスの中身に惹かれてるんだから
ルーナ:絶対あり得ません
カプリス:それならいいんだがな
学校の女子にも嫌われているのは趣味のせいがほとんどだろが、いつも蔑まれた視線を受けているため、容姿にも自信はない。
まぁもしそうなったら、俺から別れを告げたらいいか。
マール:それじゃあ今週末予定空けといてね
カプリス:ああ、わかった
まだまだ心配なことはたくさんあるがオフ会は決行されることになった。何事も起こらなければいいんだが……。
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