オマケ 長編『愛し子らの守人』 登場キャラクター一覧

くぐい 勇魚いさな

 オリジナルの地球の少年。高校進学を控えた三月の半ばにアインシュタイン・ローゼンブリッジを渡って、魂魄タマシイだけで第3910平行宇宙の模造地球デイジーワールドに流れ着く。からすのような黒髪と黒曜石を彷彿とさせる鋭利な黒瞳こくどう、そして母親譲りの童顔の持ち主。現在の肉体や普段の着衣は『地球系統ガイア・システム』と『星核構築』デイジーワールド・プログラムのチカラで作られた仮初のモノ。その魂魄タマシイに造物主の眷属であるオーバーロードたちを宿す。二代目の<ガイアセンチネル>として宇宙間集合無意識アカシックレコードに記録された。鵠は白鳥、勇魚は鯨の古名である。一人称は『ボク』。


 最近の悩みは街へ買い物に出掛けると五回に一回は迷子に遭遇すること。ときには迷子の母親を一緒に探してあげている最中に別の迷子を見つけてしまい途方に暮れたことも。最近「自分は何か迷子を引き寄せるオーラみたいなモノを発しているのでは?」と疑い始めたが、引き寄せているのは迷子だけでなく『ワケ有りの女の子』もであることには気付いていない。



【テルル】

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとりにして愛娘。<破壊と修正の地球意思ダーク・ガイア>と呼ばれる模造地球デイジーワールドの化身にして分霊。勝気そうな吊り目に紅玉ルビーのような煌めきを宿し、左の側頭部でサイドテールにした黒髪には紫水晶アメジストまぶしたような菫色の艶を湛えた、小学校低学年くらいの見た目の幼女。『どちらかと言うと』破壊的イメージが色濃いイベントや概念を管理する眷属たちを束ねる立場。役割は『地球系統ガイア・システム』のチカラの源泉。『地球系統ガイア・システム』は酸素や炭素、水素や窒素といった元素を操って『生体』を生成するチカラであり、本来コスモスがガイアを生み出す際に揮われるモノ。作中ではテルル自身や勇魚の受肉に使用されている。十二にんいる上級眷属の一柱ひとりで、シンボルにしている星座は双子座。マークは『♊』。勇魚のことは『おにーさん』と呼ぶ。勇魚を最初から真の主と認めており、(勝手に)彼と『魂魄タマシイの婚姻』を結んだ。


 最近の悩みは<破壊と修正の地球意思ダーク・ガイア>という自分の呼び名がちょっと悪者っぽい響きなこと。<創造と再生の地球意思ライト・ガイア>といかにもイイ奴っぽい名で呼ばれている双子の片割れを羨みつつ、今度名前を付けてくれた母親コスモスに会ったら文句を言ってやろうと思っている。



【レア】

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとりにして愛娘。<創造と再生の地球意思ライト・ガイア>と呼ばれる模造地球デイジーワールドの化身にして分霊。内気そうな垂れ目に瑠璃ラピスラズリのような煌めきを宿し、ツインテールにした黒髪には青瓊玉ブルーカルセドニーを塗したような蒼い艶を湛えた、小学校低学年くらいの見た目の幼女。『どちらかと言うと』創造的イメージが色濃いイベントや概念を管理する眷属たちを束ねる立場。役割は『星核構築』デイジーワールド・プログラムのチカラの源泉。『星核構築』デイジーワールド・プログラムは酸素や炭素、水素や窒素といった元素を操って、星のコアといった『物体』を形成するチカラであり、作中ではレア自身やイサナの着衣などの形成に使用されている。上級眷属の一柱ひとりで、シンボルにしている星座は魚座。マークは『♓』。一人称は『わたし』。勇魚のことは『おにーちゃん』と呼ぶ。やはり勇魚を最初から真の主と認めており、(やはり勝手に)彼と『魂魄タマシイの婚姻』を結んだ。


 最近の悩みは双子の片割れであるテルルから羨ましそうな眼差しを向けられることが多いこと。てっきり自分のほうが身体の発育が良いからだと思って励ましたら違う理由だったらしくメチャクチャ怒られてしまい、しばらくの間バストサイズの設定をB からAに落とす羽目になった。そしてその変化を勇魚に気付いてもらえずへこむ。



〈太母〉グレートマザー

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとり。役割はヒトの無意識に干渉し、文明の進化と発展をオリジナルの地球の人類と同じ方向へ導くこと(『人類進歩』グレートジャーニー)。『宇宙間集合無意識アカシックレコード』へのアクセスと閲覧が許可された数少ないオーバーロードの一柱ひとりだが、ある日偶然『視た』未来が原因で、休眠中だった三柱さんにん同胞ともがらの核をコスモスから奪い出奔。<ガイアセンチネル>となれる可能性があるオリジナルの地球を出自とする魂魄タマシイを召喚し、模造地球デイジーワールドを護ってもらおうという企みのもと希実たちを利用する。そして召喚に成功した勇魚と後日死闘を繰り広げ、将来の<ガイアセンチネル>に戦いというモノを経験させた。現在は勇魚の魂魄タマシイの中でリッカが作った氷山の中に幽閉されており、勇魚とは未契約。そのため上級眷属の一柱(ひとり)だがシンボル及びマークは不明。かつて地上で暗躍した際は不幸な事故により脳死した女の子、「神々廻ししば 未宇みう」の肉体を借りていたため、本来の容姿すら不明。一人称は『私』。勇魚のことは『勇魚』と呼ぶ。


 最近の悩みは勇魚に名前を教えて『魂魄タマシイの婚姻』を結ぶキッカケが無いこと。勇魚には自分のチカラも模造地球デイジーワールドを護るのに役立ててほしいと思っており、虎視眈々と『魂魄タマシイの婚姻』を結ぶタイミングを見計らっている。なお、それを察知したリッカに絶対自力で出られないよう氷山のサイズを倍にされた。ひどい。



【マナ】

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとり〈隙間の神〉ゴッド・オブ・ザ・ギャップス。役割は因果に干渉したり確率を操作したりすることで無数に分岐する未来の中から『限りなく奇蹟に近い最も望ましい未来線ルート』を引き寄せたり、他のチカラによる星の地球化テラ・フォーミングの成功率を跳ね上げたりすること(『稀少地球レアアース』)。現在は勇魚の魂魄タマシイに宿っており、彼を真の主として認め、(勝手に)『魂魄タマシイの婚姻』を結んだ。下位眷属だが『宇宙間集合無意識アカシックレコード』へのアクセスと閲覧が許可された数少ないオーバーロードの一柱ひとりで、その役割ゆえに揮うチカラの性質は強力。シンボルにしている星座はくじら座。黒髪を桜を模した花簪はなかんざしでお団子にし、胡蝶蘭こちょうらん黒鳥こくちょうが刺繍された正藍染しょうあいぞめの着物に身を包む、神楽用の白い狐面を着けた少女の姿。使っている一人称は『わたくし』。勇魚のことは『イサナ様』と呼ぶ。


 最近の悩みは犬猿の仲のはずのクーに突然「人間、大切なのは顔じゃないぜ!」と慰められてしまったこと。自分が狐面を着けている理由を同胞はらからたちが邪推していたことが判明しショックを受ける。実は勇魚に顔を見せたくない事情があり面をしているのだが、もうこの際見せてしまってもいいかなと思い始めている。



【クー】

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとり、〈種を播くものシードマスター〉。役割は隕石に付着した微生物の胞子のようなモノ、種子スペルミアを媒体に、宇宙を漂う魂魄タマシイを召喚し、地球上に最初の生命を誕生させること(『宇宙播種パンスペルミア』)。マナと同じく現在は勇魚の魂魄タマシイに宿っており、彼を真の主として認め、(勝手に)『魂魄タマシイの婚姻』を結んだ。上級眷属の一柱ひとりで、シンボルにしている星座は乙女座。マークは『♍』。女性が田植えの際に身に着ける早乙女さおとめ装束を着こなし、赤毛を黒いリボンで結わえ大きなおさげにした見た目中学生くらいの美少女。一人称は『アタイ』。勇魚のことは『イサ公』と呼ぶ。


 最近の悩みは勇魚たちが弟橘媛おとたちばなひめ女学院に泊まった際、夜中遅くに、勇魚の魂魄タマシイに蓄積された『地球系統ガイア・システム』のチカラを使い受肉し、傷心の勇魚を普通に慰めようとしたら、夜這いと勘違いしたテルルとレアに邪魔されてしまったこと。危うく勇魚VSナニカの死闘の前に双子VSクーの激闘が繰り広げられるところだった。もっとも、全裸だったので双子が勘違いするのも無理はない。



【リッカ】

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとり、〈神の財産目録保存者ホワイトデイジー・ベル〉。役割は大気中に含まれる二酸化炭素を消失させるなどして寒冷化を引き起こし、地球全体を七千万年もの永きにわたって氷床ひょうしょう海氷かいひょうの中に封じ込めること(『全球凍結』スノーボール・アース)。やはり現在は勇魚の魂魄タマシイに宿っており、彼を真の主として認め、(勝手に)『魂魄タマシイの婚姻』を結んだ。上級眷属の一柱ひとりで、シンボルにしている星座は牡羊座。マークは『♈』。面に触れてしまいそうなほど長く伸ばした銀の髪プラチナブロンドに純白のシャープカを被り、やはり純白のファー付きコートを羽織った儚げな美少女。一人称は『私』。勇魚のことは『イサナ』と呼ぶ。


 最近の悩みは同胞はらからにデレデレ(マナ)とツンデレ(クー)とヤンデレ(〈太母〉グレートマザー)しかいないこと。そのせいで、自分は仲間たちのフォローなどの損な役回りが多いと思っている。そんな彼女は、自分が同胞たちからはクーデレだと思われていることをまだ知らない。



四十八願よいなら 希実のぞみ

 小学生のときに〈太母〉グレートマザーに唆され、休眠中だったマナをその身に宿し、『稀少地球レアアース』のチカラを揮って暴走させてしまった女の子。半年後目覚めた勇魚を『兄様』と慕う。のちに結婚、姓が葉加瀬はかせになる。現在は弟橘媛女学院の理事長を務める。


 勇魚と再会後一番悩んだのは、学院の理事長室の机に隠していた勇魚たちと撮った写真を愛娘に見つかってしまったこと。勇魚が写っていることに気付いた愛娘に写真の焼き増しを頼まれたが「これは自分だけの宝物だから」と断った結果、愛娘に一ヶ月近く口をきいてもらえず凹む。結局、土下座しながら焼き増しした写真を渡す羽目になった。



早乙女さおとめ 瑞穂みずほ

 希実同様小学生のときに〈太母〉グレートマザーに唆され、休眠中だったクーをその身に宿し、『宇宙播種パンスペルミア』のチカラを揮って暴走させてしまった女の子。半年後目覚めた勇魚を『おぃ』と慕う。のちに結婚、姓が早苗さなえになる。現在は売れっ子の絵本作家。


 愛娘が勇魚に救われたことを知ったあと一番悩んだのは、自作「おやすみ、亡霊騎士」の実写映画化が既に決まっていたこと。監督や俳優に作者の立場から「亡霊騎士はもっとイケメンムーヴ」だの「天の御使みつかいの双子はここまで可愛くない」だのいろいろ口出ししすぎてウザがられた。それを知った愛娘にまで説教され凹む。土下座して赦してもらった辺り、まさに類友るいとも



氷室ひむろ 風花ふうか

 やはり小学生のときに〈太母〉グレートマザーに唆され、休眠中だったリッカをその身に宿し、『全球凍結』スノーボール・アースのチカラを揮って暴走させてしまった女の子。半年後目覚めた勇魚を『お兄ちゃん』と慕う。のちに結婚、姓が寒河江さがえになる。アイスランド出身。現在はごく普通の専業主婦。


 愛娘が勇魚に救われたことを知ったあと一番悩んだのは、愛娘が年上である勇魚を「くん」で馴れ馴れしく呼んでいたらしいこと。目上のヒトを呼ぶときは『さん』で呼ぶよう厳しく指導した結果、拗ねた愛娘から「お母さん」ではなく「風花さん」と余所余所しい呼ばれかたをされるようになりへこむ。やっぱり土下座して戻してもらった。



葉加瀬はかせ 結芽ゆめ

 希実の娘。私立弟橘媛女学院初等部四年。市松人形を彷彿とさせる、ボブに切り揃えられた墨を流したような黒髪の女の子。自分が通う学校の教師や生徒全員の顔とプロフィールを暗記できる記憶力の持ち主。父を亡くしている。勇魚のことを『勇魚』と呼ぶ。のちに叶恵かなえという娘が出来る。


 大人になってから一番悩んだのは、娘の名づけ。もういっそ女の子の名前でも違和感ないし『勇魚』にしようかとも思ったが、娘を見るたび失恋の痛みを思い出して切ない思いをしそうだったので思い止まる。ただ、後日、自分のあずかり知らぬところで勇魚と愛娘が出逢い、しかもちょっとイイ感じになっているのを見て、結局切ない思いをする羽目に。



早苗さなえ 穂垂ほたる

 瑞穂の娘。結芽同様、私立弟橘媛女学院初等部四年。上品な栗毛色の髪をショートカットにした、開いた口から覗く八重歯が愛らしい活動的な印象の女の子。あまり勉強が得意ではないがとにかく元気。勇魚のことを『勇魚さん』と呼ぶ。のちに穂乃果ほのかという娘が出来る。


 大人になってから一番悩んだのは、気が付いたら芸能人になってしまっていたこと。最初は実写映画「おやすみ、亡霊騎士」にエキストラで出演しただけでセリフも一個しかなかったのに不思議と人気が出て脅威の出世街道を歩む。なお、初めてテレビ番組で「初恋の相手は騎士神様でーす☆」と(考えなしに)公言した際はファンの間で「誰それ⁉」と動揺と激震が走った。成長しても物事を深く考えるのは苦手なままみたい。



寒河江さがえ 銀花ぎんか

 風花の娘。やはり私立弟橘媛女学院初等部四年。日本人離れした銀の髪プラチナブロンドをロングにした、雪のように白い肌をした大人しそうな印象の女の子。フィギュアスケートの腕前は日本大会で優勝するほど。勇魚のことを『勇魚くん』と呼ぶ。のちに天花てんかという娘が出来る。


 大人になってから一番悩んだのは、『ナニカ』に襲われたときの夢を見て当時の恐怖を思い出し、いいトシしておねしょをしてしまったこと。ちなみに当時、勇魚に救われた際もおしっこを我慢できず勇魚にお姫様抱っこされた状態でお漏らししている。お陰で勇魚は死闘の直後でヘロヘロだったのにチカラを使って顕現し直す必要があった。可哀相。



葉加瀬はかせ 叶恵かなえ

 結芽の娘。父が入り婿のため姓は母の家のモノ。小学生のころは母譲りの黒髪をショートのボブにしていた。小学生のときに恐竜の亡霊に襲われたところを勇魚に救われたことがあり、高校生になってから『ある事件』を通して勇魚と再会した。


 最近の悩みはいいトシして勇魚に甘えようとする母の姿が娘として見るに堪えないということ。そのことについて話し合うための家族会議は既に十回以上開催された。ちなみに勇魚は当事者としてすべて強制参加だったため、そのたびに気まずい思いをした。



【エレオノーラ・サタキエリ】

 愛称はエル。月の光を宿したかのようなふわりとした美しい金色の髪を腰まで伸ばした、紫水晶アメジストのような輝きを宿した瞳の美少女。一人称は『わたし』。勇魚のことは『勇魚さん』と呼ぶ。結芽の娘の叶恵の友人で、『ある事件』を通して勇魚に救われた過去を持つ。


 最近の悩みは勇魚に対しお姉さんポジションでいくべきか妹ポジションでいくべきか、ということ。普段から遠慮なく勇魚を『おにーさん』『おにーちゃん』と呼べているテルルとレアが実はちょっと羨ましかったり。



【リピカ】

 造物主コスモスの眷属の一柱ひとり、〈生命の書の書記ラプラス〉。役割は全宇宙の記録である『宇宙間集合無意識アカシックレコード』の管理。その他は一切が謎。


 最近の悩みはせっかく自分のもとを訪れてくれた『ある魂魄タマシイ』が、気付いたらどこかへ旅立ってしまっていたこと。――そう、仙女の導きのごとき不思議な少女の思念こえに従って……。


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