胸が痛いのは誰の所為?
エピローグ
「また、あの子がお参りに来ていたんだって?」
「さっきまでね。あの子も懲りないねえ。初めて来た時には三センチくらいしかなかったのに、ずっとお前さんを信仰してくれているなんて、健気でいいねえ」
「三センチは言い過ぎだろう。ま、あれから五年経っておるからな。多少は成長しておるだろうが、毎度毎度同じ願い事をしに来て飽きないのかねえ」
「ああ、願い事は取り消してほしいってやつか?」
「……毎回飽きないのかね。最初からどちらの願いも叶えていないというのに、何を取り消してほしいんだろうね」
「ああ、未だにお前さんが願いをかなえてくれたと思ってんだね。今のお前さんにそんな力はないのにねえ」
「仕方ないだろう。忘れ去られた神ができることなんて限られておる。それこそ、あの子がどうにか信仰を集めてくれたら一度くらいは叶えられるが、そもそも叶えていない願い事の取り消しを願われてもできないさ」
「胸の痛みがあの時一緒に来ていた子の所為は、ある意味間違ってはないけどさ。それが自分の所為でもあるっていつ気付くのかね」
「さあ。まあ人生長いんだし、いつかは気付くんじゃないのかな」
「そうだといいけどね。あの子の貴重な時間をここに来るので無駄にするのも忍びないからさ」
「そうだねえ。それまでもう少し見守ってあげようか。せっかく参りに来てくれたあの子たち二人がどうなるかを、さ」
胸が痛いのは君の所為 そばあきな @sobaakina
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