人が死ぬことがオチの小説を書く小説家は下手くそです

ぐらにゅー島

自己紹介です

「話のオチとして『人が死ぬ』という展開にする人は小説家として才能がないと思うの」

 放課後の学校の教室、彼女はそう高らかに胸を張って宣言する。しかし、どうもしっくりこない。

「でも人が死ぬのってインパクトあるし、上手く使えば感動する話になるじゃないか」

 僕は少し尖った声でそう言った。風でカーテンが揺れる。うん、と彼女は頷くと口を開いた。

「確かにそう。でもね、私みたいな才能がない人が書くと陳腐でありきたりな話になっちゃうから。感動する話より、しっかりと伏線を張ったミステリーを書く方がずっと簡単」

 彼女は頬杖をつき、夕焼けの窓の外を眺める。そんな彼女に僕は一言。

「ミステリーだったら人死ぬじゃん」

「あー、聞こえなーい」

 耳に手を当てて子供っぽく嘘をつく彼女に僕はため息をつく。こういうところが面倒臭いのだ。

「てか、今どき小説の中でも無闇に人殺したら問題だから。サイコパス扱いされるから!」

 必死になって彼女は自分の主張を僕に押し付けてくる。でも君の作品大抵人死ぬけどな。

「そういえばこの話インスタに上げるからさ。なんか伏線回収したオチをつけてよ、小説家さん?」

 だから僕は彼女の機嫌を取ろうと優しく問いかける。彼女は頬を膨らましてムッとする。

「このショートストーリーで伏線張って回収するのは無理ゲーだって」

 ケラケラと彼女は笑うとスマホを取り出して弄り始めた。もう僕には興味もないようだ。誰もいない教室で、男女が二人きり。夕焼けが頬を照らし、ほんのりと赤く染まる。彼女の画面をスクロールする手が止まり、僕の方を急に見つめた。交錯する視点。彼女は真剣な目で僕に言葉を伝える。

「待って、私の小説めっちゃ炎上してるんだけど」

「あー、社会的に死んだ感じか」

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人が死ぬことがオチの小説を書く小説家は下手くそです ぐらにゅー島 @guranyu-to-

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