第2話 学年の2大美少女は心も美少女だったらしい

 俺はあまりにも突然の出来事に声すらも出ず、鯉の様に口をパクパクさせる事しか出来なかった。

 そんな俺を見て2人はくすくすと笑っている。


 …………………え……いや、え?


 こんな究極美少女達が笑顔で話しかけるのはイケメンか陽キャだと相場は決まっている(究極的な自論)ので、こんな異常事態は何かの作為を感じる(これは多分マジ)。


 だが、一体この俺に何の用で……?


「え、いや、俺に何の用ですか?」

「ぷっ、あはははっ! 面白いこと言うね優真。そんなのさっき言ったじゃん。『勉強を教えてあげる』って」

「笑ってはいけませんよ、明日香さん。あまり・・・話したことのない私達に話しかけられたら困惑するのは当然です」

「えー、別に面白いんだからいいじゃん。優真も楽しそうな人の方がいいよね?」


 いや、そもそも俺は君達2人と話したことないんですが?

 それにその「いいよね?」は間違いなく肯定しか答えないよね?


「あ、ま、まぁ楽しそうな人は好きですけど……」


 俺が吃りながら言うと、如月さんは少し笑みを深め、白城さんに視線を移して言う。


「ほらね、言ったでしょ? 沙羅ちゃんみたいに堅苦しいのは疲れるんだよー!」

「……そうなのですか……優真君?」


 いや、俺に聞いてくるなよ。

 またもや「そんなことないよ」以外の選択肢がないじゃねぇですか。

 しょうがない……ここは俺が長年の善行で培ったトークスキルで切り抜ける!


「いやいや、男子からすればお嬢様系も十分好まれるとおもわれますよ……?」

「優馬くんはどう思いますか?」

「大変宜しいと思います」


 やばい。こんな美少女と話しているからかテンションがおかしい。

 今の俺、完全にキモいよね。

 まぁそれを誰かに言われると普通に傷つくんだけどね。


「で、では俺はこれで……」

「だーめ☆」

「待ってください」


 俺は気まず過ぎたので即座に退散しようとしたのだが、俺の両腕がガッチリと掴まれてしまった。

 それと同時に腕に感じる柔らかな感触———ふむ、白城さんは着やせするタイプと見た……だって腕が埋もれるもん。

 しかし如月さんの方も薄着のせいか、非常にやわこいし、あと普通にデカい。


 俺は顔がドロドロに緩みそうなのを意識してキリッとした顔を作る。


「取り敢えず離してはくれませんか?」

「では一緒に勉強しましょう?」


 白城さんが俺にグイッと顔を近付ける。

 そうすると自然に胸がより俺の腕に当たるわけで……ありがとうございます。


 ———ってあかん!

 完全に俺の思考がバグってる。

 冷静になって現状を把握しなければ……次赤点取れば留年な俺に2人の美少女が勉強を教えてあげると言ってくれ———あれ? 

 よくよく考えなくてもいい事しかないんじゃないか?

 だってこんな美少女2人に教えて貰えるんだよ?

 それもマンツーマンで。

 神かよ。


「ふ、2人ともが俺に勉強を教えてくれるのですか?」

「うん!」

「はい、そうですよ。私が文系科目を、明日香さんが理系科目を教えます」


 更にハーレムっぽいですね。


「ありがとうございます!」


 正直この2人に教えてもらうとなると、他の男子からの嫉妬が凄いかもしれないが、そもそも俺はボッチだし、マジで手段を選んでいる余裕はないので素直に受けよう。

 と言うか男として、こんなビッグイベントをスルーするわけにはいかぬ。

 あ、でも教えてもらうなら何か御礼しないと。


 俺は如何なる人でも感謝を忘れないのだよ。


「あ、あの……2人は御礼に何かして欲しいことありますか……?」


 俺が恐る恐る訊くと、2人はキョトンと首を傾げる。


「して欲しいこと、ですか?」

「はい! 何でも・・・大丈夫です!」

「「!?」」


 2人がキョトンとした表情から一転、驚いた様に目を見開く。

 そこで最近JKはお金が欲しいのかもと思い、急いで銀行口座を調べるも、残り20万しかない。


「あ、でも流石にお金は1人10万円以下にして下さると助かります」


 じゃないと物理的に俺が終わっちゃうので。

 善行してたらバイトなんてしている余裕はないの。


「いや、お金は貰わないよ!」

「私もお金は大丈夫です」


 意外にも2人ともお金を拒否する。

 どうやら彼女達は俺が思っている程金欠ではないのかもしれない。

 いや、皆が金欠だと思っている時点で間違っているのかもしれないけど。


「でも、それ以外で俺が何か出来ることってありますか?」


 正直一個も思いつかないんだが。

 こんな凡人に出来ることは彼女達にも出来るだろうし。

 あ、パシリくらいなら出来るな。

 累計1000回お婆ちゃん達の荷物を持った俺を舐めるなよ!


 俺がそんなくだらない事を考えていると、2人はそれはもう美しい笑みを浮かべていた。

 何処か人形じみているが。


「勿論あるよっ! 優真にしか・・・・・出来ないことがっ!」

「そうですね。優真君にしか・・・・・・出来ないことがあります」

「あ、そうですか。ならそれで」


 よし!

 俺に出来る程度のことでこんな優秀な人達に勉強を教えてもらえるのはラッキーでしかないな!


 この時、一縷の希望が見えて来たせいで、俺は気付いていなかった。



 ———肉食動物を彷彿させる獲物を狙う目をした2人に。


 


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