善行を積めば勝ち組転生できると信じてやまない男子が、いつの間にか美少女達に好かれていた件
あおぞら@書籍9月3日発売
第1話 来世に全てを賭けた高校男児
俺———
別に顔が悪いわけでも、運動神経が悪いわけでも、はたまた勉強が出来ない訳でもない。出来ることには出来る。
しかし普通なのだ。
どれだけ頑張っても学年一どころかクラス一位にすらなれない。
顔も良くて中の中の上で、この世に俺よりイケメンな奴は幾億もいるだろう。
そんな事に俺は小学4年生で気付いた。
小学4年生は恋バナで盛り上がり始める時期であり、此処でモテる奴とモテない奴に分かれる(超自論)。
俺は勿論モテない奴だったが、それが普通なのだ。
逆に学生時代でモテる奴などほんの一握りのイケメンか、コミュ強で何かしらに才能がある陽キャしかいない。
くそったれめ。
しかしこんな俺に神が舞い降りた。
それは中学1年の5月に、新しく友達になった
題名は長いので余り覚えていないが、内容はよく覚えている。
誰にでも分け隔てなく沢山の善行を行ったフツメンで凡人の主人公が、転生したらイケメンになっていて、持ち前の優しさと抜群のルックスで沢山の美少女にモテる勝ち組の人生を送る、と言った内容だった。
一見結構ありがちでテンプレな話だが、その時に受けた衝撃は物凄いもので、自分の人生観がひっくり返ったかの様な錯覚に陥った。
そこから俺は今世は、モテることや勝ち組人生を送ることを諦め、イケメン転生するためにひたすら善行をして生きようと決めた。
一先ず朝早く起きて家族全員の朝ごはんを作り、早くに家を出て街を歩き回りながら困っている人がいないかひたすら探す。
そして少しでも困っていそうなら誰でも声を掛けた。
始めは声を掛けるのが死ぬほど恥ずかしかったが、人間慣れるもので、数ヶ月も経てばにこやかな笑みを浮かべて話し掛けれるまでに成長。
来世のためのトークスキルも鍛えられるので一石二鳥と言えるだろう。
最初はほんの小さな困りごとを解決していたが、噂が広まったのか、助けた人を介して助けを求める人を紹介してもらったりもした。
まぁ困り事がある人は基本同年代には居ないので、噂が広まるのはお年寄りとかばかりだが。
そんな生活をしていると、学校に遅刻することもしばしば、成績もだんだん下がっていったが、何と高校は、助けた人のツテで3年間学費無しで私立の高校に入学出来た。
その時はマジで善行は全てを凌駕すると狂喜乱舞したね。
入学する時には善行を積み始めて早3年が経っていたが、あの時の主人公はそれこそ十数年も善行を積んでいたので辞める事なく続けることを選んだ。
まぁ高校生になった事で自転車を手に入れ、より遠くまで困っている人を探すことができる様になったのはいい意味で予想外だったが。
因みに高校には話せる友達はいれど、遊びに行く様な親密な友達は1人も居ない。
まぁ毎日の様に遅刻して放課後は即帰宅する奴なんかの友達になる奴なんて居ないわな。逆の立場に立ったら俺も嫌だわ。
そして2年の冬となった今日も、放課後、いつも通り善行を積みにさっさと帰ろうと思ったら、担任の先生に呼び止められてしまった。
非常に行きたくないが担任の先生を待たせては善行に傷が付くと思い、生徒指導室に直行。
「———失礼します! 2年3組の佐々木優真です。高木先生に用事があって来ました」
「もう入っていいぞ」
「あ、はい」
中から声が聞こえたので、さっさと入る。
すると目の前には2つの机と椅子が向かい合う様に置いてあり、奥側の席に先生が座っていた。
「よく来たな佐々木。お前の噂は毎度聞いているぞ」
「まぁ外での評判は良いですからね」
「自分で言うな。……まぁそれはいいとして、佐々木。今日はなんで呼ばれたか分かるか?」
ふむ……心当たりがあり過ぎて全然分からないな。
毎日遅刻するなどの学校内での事か?
それともこの前強盗犯をガスガンで撃ち抜いたことか?
まぁ考えても分からないから取り敢えず適当に言っておくか。
「毎日遅刻することですか?」
「それは理事長から不問にする様に言われているから違う」
「では、先日ガスガンで強盗犯を撃ち抜いて捕まえたことですか?」
「お前そんなことしてたのか!? そんなの聞いてないぞ!」
「えぇ……では、一体何故呼ばれたんですか?」
「……このままだったら留年するぞ」
……………………お?
「留年、ですか?」
「そうだ。毎回赤点だが、追試を受けていないだろう? 1年の時はまだ何度か赤点回避していたから良かったが、2年はオール赤点だ。流石に庇いきれない。次のテストで全て60以上取れなければ留年確定だ。誰かに教えてもらうなり何なりして頑張れ。私も出来る限り協力しよう。以上だ。もう帰って良いぞ」
「………………うす」
俺はどんよりとした雰囲気を纏い、生徒指導室から出る。
……マズいぞ……このままだと留年確定。
留年すれば最期の1年間だけはお金を払わなければならなくなる……!
そうすれば親不孝者と……俺の積んだ善行が危ない!!
「ああ……終わった……」
幾ら心の中で叫んだ所で詰んでいるものは詰んでいるのだ。
たった1、2ヶ月で60点を取れるまで学力を上げるなんて1人では不可能。
友達のいない俺は詰んでいるのである。
両手を地面について絶望していたその時———
「「あっ、やっと見つけた(ました)」」
頭上から女神の様な美しい2種類の声が聞こえて来た。
一瞬俺以外の誰かかと思ったが、見た感じ俺以外に姿が見当たらない。
何事かと思い、俺がゆっくり顔を上げると———そこには健康的な太ももに白と水色の……んんっ!!
そこには———
「ねぇ優真、ウチが勉強教えてあげようか?」
「私が優真君のお勉強をお手伝い致しましょうか?」
ガチモンの天使の様な笑みを浮かべた、金髪色白ギャルの
因みに大変眼福だったことはここに記しておく。
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気ままに投稿します。
大体2日に1話か3日に1話になると思います。
土日は基本投稿予定。
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