第95話 青い月

 試験も終わり、明日から真古都とキャンプに出掛ける。


今回は真古都とゆっくり時間を過ごすためテントは止めてロッジにした。


「待った?ごめんね」

真古都は俺を見つけると走りだした。

「走ったら転ぶだろ!俺が早く来すぎただけだ。気にするな」

コイツは何でもないところでもよく転ぶから俺の方からも近づいた。


実際、昨夜は色々考えてたら眠れなくなったし…今日だって家にいても何だかソワソワして落ち着かなかったから早めに出て来た。


「翔くんとお出かけ久しぶりだから嬉しくて…」

含羞んで笑うコイツがメチャクチャ愛しい。


滅多に外に出かけない真古都は、相変わらず子どもみたいにはしゃいでる。



予約したロッジに着くと、荷物を小屋に入れて夕食のための準備をする。

寝る場所がテントから小屋になっただけでいつものキャンプと変わらない。


「景色もいいし、満天の星を眺めて過ごせるぞ」

窓からの景色を眺め、真古都に声をかけると彼女の様子が可怪しい…


「どうかしたか?」

「あ…あの…」


何か困っている表情だ…


「何かあったのか?」

「それが…その…わたし…普通のキャンプだと思ってたから…寝る時着る服持ってきてなくて…」


真古都が恥ずかしそうに話す。


「何かと思えば…小屋の中では二人きりなんだからどんなカッコでも大丈夫だ」

「変なカッコで寝るかもしれないけど笑っちゃ嫌だよ?」


真古都が真剣に頼むのが可笑しかった。








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