第18話 辛い忠告と突然の出来事

 先輩の彼女さんに話しかけられてしまった。

内容は勿論先輩の事。

わたしみたいな女の子が、彼氏の側にいたら気分悪いよね。やっぱり…


わたしは彼女さんに丁寧に謝る。

何度も頭を下げる度、涙が出そうになるのを息を止め、スカートに皺がつく位強く握って我慢する。


「おい三ツ木!」

瀬戸くんの声だ。また迷惑をかけてしまった。

わたしは止めていた息を思い切り吸い込んで、笑顔を向けるが、やはり彼を怒らせてしまう。

「部活も辞めた方がいい。それこそ園芸部にでも行けばいいじゃないか」


部活を辞める?

お願いだからそんな事言わないで!

わたしが迷惑なのは判ってる。

わたしの所為でいつも割りを食うのは同じ一年の瀬戸くんだ。

本当に申し訳ないと思う。


「先輩の事とは関係なく、絵は好きだから部活は辞めたくない。これからは迷惑かけないよう気をつけるね」

謝っても瀬戸くんの気持ちは収まらないかもしれない。けど、わたしには謝ることしか出来なかった。


わたしは昨日、瀬戸くんを怒らせてしまったことが気になっていた。

あの後二人共、何も言わずに別れたから。

『花壇の植え替えが終わったら、早めに部活に行って、もう一度昨日の事謝ろう』


その時、突然瀬戸くんの声が聞こえた。

「三ツ木危ない!」


声がする方に向こうとした瞬間、頭に強い衝撃があった。

それと同時に、目の前が白くなる。


頭全体が重く、特に右眼辺りの痛みがどんどん強くなる。

『な…何?何があったの』


「おい大丈夫か!」

瀬戸くんの声が聞こえる。

目を開けようとするけどうまく開かない。

痛みだけがどんどん強く広がっていく。


「三ツ木ごめん」

瀬戸くんがわたしの右手を頭から離した。

生暖かい物が、頬を流れていくのが判る。

右手をどかされた所に、瀬戸くんが何かを押し当ててくる。


『瀬戸くん…痛い…』

わたしは残っている左手で、彼の服を掴んだ。

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