9人目 『どんな姿でもきっと』

 ・作品名:どんな姿でもきっと

https://kakuyomu.jp/works/16817330659543930643

 ・作者:佐藤ぶそあ 様


 この方も和田島さんと仲良くされてる方です。逢坂さんの作品の感想で名前を伏せていたおひとりはこの佐藤さんでした。ご参加くださって嬉しい!ありがとうございます♪

 この作品は、和田島先輩とその後輩との会話劇。文芸部部室での静かで穏やかなドキドキするひととき。学園部活モノの中でも王道のひとつ!『放課後』『教室』という状況は日本人の多くに通じるモノで、青春を過ぎた人にとっては郷愁を覚えさせる、とても素敵なシチュエーションだと改めて感じました。

 だからこそ、キャラの魅力を描くのにも適しているんですよね。このお話でも、語り手たる後輩ちゃんの和田島先輩への"好き"がすごく伝わってきます。特に、合間合間での彼女の心の中の問答がすごく可愛らしくてクスッとなりました。同級生や先輩ではなく、彼女が後輩であるというところがまた良いですよね!

 それに、先輩のややためらいのある雰囲気も可愛いんですよね、後輩なのに偉そうにはしない!優しく控えめな先輩!『アイスを買ってきた』のくだりがすごく好きです。

 また、他の方の感想を見て気づいたんですが、転生モノで要素もある作品なんですね。私は青春ドラマとして読んでいたんですが、もし先輩がホントに転生者だったなら、その心境に想像の幅が生まれるなぁとより楽しく思いました。後輩ちゃんの言うように、肉体的百合な年の差恋愛の可能性があったり、おじさんだった前世の何やかんやの因縁が絡んでくる可能性もするわけで……。

 この転生の真偽がハッキリ描かれていないところがこの作品の魅力のひとつだとも思いました。ファンタジーではないことで、穏やかな学園青春ドラマとして落ち着いて楽しめますし、もし転生者なら、前世と今とのギャップによる葛藤があるわけです。複数の読み方ができることで、いろいろ想像が膨らんでワクワクしました。

 また、同様に、語り手が後輩なので先輩の心境もあくまで後輩の視点を通して想像するしかないところも好きでした。突拍子のない発言、後輩の反応の伺う様子(先ほども書きましたがとても好きなところです)、そして、淡々と進められる後輩ちゃんの推理と思考。和田島さんの素直さやミステリアスさ、優秀さを丁寧に描かれた見事な手法だと思います。

 あらためて、ご参加ありがとうございました。

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